1 研究目的 本研究では、これまでセラミックス実習で廃棄してきた焼成前及び焼成後のアルミナを再利用したアルミナ焼成体を作製し、その機械的性質、物性を調べた。 2 研究方法 (1)リサイクルアルミナ試料の作製 焼成前の廃棄されたアルミナは、不純物を取り除くため約200℃で仮焼きを行った。その後、1次成形を行い1650℃で焼成した。 焼成後の廃棄されたアルミナは、非常に硬いためハンマーとメノー乳鉢を用い、約500μmの粒径になるまで砕いた。 このリサイクルアルミナを0.5%〜50%までの範囲で通常のアルミナに混ぜ、1次成形を行い1650℃で焼成した。 (2)作製試料の評価 機械的性質は、3点曲げ強さとビッカース硬さを実験から求め比較した。また電子顕微鏡で、粒子の凝集状態を観察した。さらに直流4端子法による電気抵抗測定を室温から-196℃までの温度域で試みた。 3 研究成果 焼成前の廃アルミナを再利用した試料では、予備処理を行うことで、通常のアルミナとほぼ同様の機械的性質を示した。しっかりと分別収集し、仮焼きを行うことで再利用が十分可能である。 焼成後の廃アルミナを再利用した試料では、粒径500μmに粉砕した廃アルミナを0.5%含有させた試料については、3点曲げ強さ、ビッカース硬さのいずれにおいても通常のアルミナと同様の機械的性質を示した。しかし1%含有した試料では、3点曲げ強さにおいて通常のアルミナに対して約67%程度の性質しか示さなかった。ビッカース硬さにおいては、3%含有した試料から大きな変化が見られ、通常のアルミナに対して約76%程度の性質しか示さなかった。 電子顕微鏡観察からは、リサイクルアルミナの含有率が増加するにつれて、粒子間に空孔が増加しているのが見られた。電気抵抗測定においては、全試料において大きな絶縁性を示した。これは従来のアルミナの性質と同じである。 以上の結果から、焼成後の廃アルミナは0.5%程度の含有率であれば、利用可能であることが分かった。これらの成果を生かし、今後の資源リサイクルに対する意識向上も含め、実習内容に取り入れていきたい。
|