Research Abstract |
車いすは福祉機器であるため,パンク修理でさえ自転車店では扱ってくれない。本研究では,中・高生のボランティア活動による車いすの定期点検に注目した。第1段階として,中学生が障害者施設を訪問し,車いすの点検整備を試行し,社会工学的見地から,問題点や改善点などの調査を行い,継続的な点検整備ボランティア活動への基礎資料を収集することを目的とした。 平成20年2月10日,大阪市更生療育センターに通う中途障害者の車いす整備を,中学生のボランティア活動として実施した。センターにお願いして車いす16台の不具合の事前調査を実施した後,中学生24名(知的障害児2名を含む)と指導者3名により整備を行った。整備内容は,汚れ落としと虫ゴム交換(16台全て),ネジの増し締め(5台,1台ボルト破損交換),きしみ止め(3台)であった。 その後,実施したアンケートでは,障害者は感謝していたが,中学生からの質問や問いかけ,アンケートの質問に対しては,多くを語ろうとしない人が多かった。センター職員の方の話しによると,まだ中途障害になったショックから立ち直っていない方が多いこと,言語障害が残っていること,利き手が不自由で文字を書くことに対して億劫になっているとの理由からだそうだ。それに対し,障害者の方々との短いやりとりにも関わらず,中学生はボランティアの意義を確かな手応えとして感じていた。特に障害児がボランティア活動の喜びを感じていたことは,非常に良かった。 本ボランティア活動に対しては,センターの職員の方から,日頃出来ていないメンテナンスが出来て非常に喜んでもらえ,次年度からも継続実施の要請があった。ただ次年度からは,事前の訪問を増やし,中途障害者であるお年寄りとのコミュニケーション不足を解消することが,社会工学的見地からも重要であることが分かった。
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