Research Abstract |
1.研究目的 海浜植物「ウンラン」は瀬戸内海沿岸では香川県の有明浜だけに自生し,その群落は分布の南限として大変貴重なものである。平成16年には香川県レッドデータブックで絶滅危惧第I種に指定され,また17年4月には「香川県希少植物の保護に関する条例」が施行され,県下を挙げて保護する取り組みが始まった。申請者は平成11年度より地元の環境保護団体や教育委員会と連携し,ウンランの保護と増殖に取り組んできた。平成18年からは北海道のウンランとの関係を明らかにするため,北海道でのウンランの採取を行ってきた。本研究はさらに北海道の他の地域と有明浜のウンランとの間でDNA鑑定を行い,有明浜のウンランのルーツを明らかにしたいと考えている。 2.研究方法とその成果 (1)北海道のウンランを採取し,香川県では生育が難しいため,IN VITOROにする。 7月26日から8月4日までの10日間北海道のオホーツク沿岸と日本海沿岸の7カ所でウンランを採取した。それをフィルム培養容器を使用して節培養による大量増殖を行った結果,4カ所(ワッカ,苫前,苫小牧,石狩)で採取したウンランの無菌化に成功した。 (2)無菌化したウンランをDNA鑑定することで,日本海側や北海道と有明浜との違いを明らかにし,瀬戸内海にやってきたウンランのルーツを明らかにする。 兵庫県立人と自然の博物館に無菌化した北海道のウンランと有明浜のウンランのDNA鑑定を依頼した。今後この結果を待ち,ウンランのルーツを明らかにしたい。 (3)本校生徒や小学生に地元有明浜の美しい自然を守り続けようとする意識や態度を育み,自然環境保全意識の高揚を図りたいと考える。 (1)第2回香川自然博物館開催(平成19年8月20日(月)) 笠田高校と海浜植物保護活動団体が主催し,香川大学農学部附属浅海域環境実験実習施設の協力により,調査船「カラヌス」での海中・海底での微生物採取を行ったあと,笠田高校生物工学実験室で採取した生物観察を行った。 (2)第3回香川自然博物館開催(平成19年10月6日(日)) 「北前船が運んできたもの」と題し,粟島の歴史探索のあと,現在香川県で唯一生育が観察できるアッケシソウの保護地を視察した。
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