本研究では、小学校6年生児童を対象にセルフモニタリング機能を有する体育の宿題(セルフチェック)を実施し、健康増進行動に与える影響を検討することを目的とした。健康増進行動については、体と心の両面から捉え、身体活動量の指標は歩数、精神面は運動有能感を取り上げた。 本調査は、平成19年9月〜11月に調査した。 歩数は、装着した歩数計で休み時間の行動記録を1日ごと求めた。まず、ベースライン期(1週間)、次に、体育の宿題(セルフチェック)用紙を用いて、1週間ごと4回(4週間)記録し、さらに終了1ケ月後(1週間)再調査した。 精神面の変容の測定は、身体的有能感、統制感、受容感の3因子で構成された運動有能感測定尺度(岡澤、1998)で宿題実施前後、終了1ケ月後を実施した。 求めたデータの処理は、Excel統計2004for windowsで行った。 その結果、全体の平均歩数では、ベースライン期を基準に比較したとき、宿題開始第1週目は減少するが、第2週目は有意な増加に転じた。その後、有意差はないが終了まで安定した増加傾向であった。宿題終了後1ケ月の調査では減少し、ベースライン時への逆戻りを示唆する傾向が認められた。 運動有能感は、実施後有意に3要因とも高まった。しかしながら、実施1カ月後では、差がなくなり逆戻りの傾向を示した。 同様の男女別比較で男子の歩数は、1週目にやや低下するが、2週目以降増加する傾向を示し、4週目、1ケ月後に有意な増加が認められた。女子も1週目にやや低下し、2週目上昇するが、男子と異なり3週目以降は減少傾向を示した。 運動有能感は、男子では、統制感、受容感が運動後有意に高まり、統制感は1ケ月後も高まった状況を持ち越した。一方、女子では、統制感、受容感ともに運動後に高まるにとどまった。 男子では、歩数、統制感の持ち越し効果が期待できるが、女子は逆戻り傾向であった。
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