個人多様性を考慮した腸内環境状態遷移モデルの構築による大腸がんリスク要因の解明
Project/Area Number |
19J40249
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 62010:Life, health and medical informatics-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
水谷 紗弥佳 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-07-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 腸内細菌 / メタゲノム / メタボローム / 大腸がん |
Outline of Research at the Start |
ヒトの腸管には約40兆個もの腸内細菌が生息している。近年、様々な疾患との関連が分かってきた。腸内細菌は個人差が大きく、多様性に富んでいることが知られている一方で、大腸がんに代表される疾患関連因子の探索において、その多様性が考慮されている例は少ない。これまでの研究で、国立がん研究センターで大腸内視鏡を受けた患者から糞便を収集し、メタゲノム解析を行った結果、大腸がんに関連のある菌種や代謝遺伝子などの多くの知見を得た。本研究では、発がんに至る腸内環境全体の変動がもともとの腸内環境に依存しているという仮説を立て、大腸がんに至る腸内環境の状態遷移モデルを腸内環境のタイプ別に構築することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、大腸がんへの腸内細菌の関与について多くの研究報告がなされている。一般に、腸内細菌の群集構造は個人差があることが知られているが、これまでの報告では、大腸がんへの関与が個人が持つ腸内細菌の多様性にどのように依存するのかという問題は未着手であった。本研究では、発がんに至る腸内環境全体の変動がもともとの腸内環境に依存しているという仮説を立て、これまで蓄積してきた腸内環境の大規模コホートデータを入力情報として、大腸がんに至る腸内環境の状態遷移モデルを腸内環境のタイプ別に構築することを目的としている。 受入れ研究室ではこれまでに、大腸内視鏡検査を受けた患者さんから収集した糞便試料や生活習慣に関するアンケート調査を元に、メタゲノムやメタボロームデータを大規模に蓄積している。患者さんは同時に、大腸内視鏡検査結果に基づき、所見なし、ポリープを有するもの、大腸がんのステージごとなどに臨床分類されている。 2019年度は、腸内環境状態遷移モデルの初期状態として、個人が持つもともとの腸内環境を明らかにすることを目的として、上記のデータを用い、腸内細菌の系統的な側面から、各個人がどのようなタイプの群集構造を持つのかを明らかにした。 2020年度は、腸内細菌の機能的側面に注目し、代謝遺伝子による腸内環境のタイプ分けに着手した。しかしながら、現在のメタゲノム解析パイプラインでは、大腸がんと関連のある腸内細菌の遺伝子を十分に検出できないことがわかったため、新しいパイプラインの構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の研究計画では、腸内細菌の代謝機能のタイプを明らかにすることを目標とした。しかしながら、現在の解析パイプラインでは、大腸がんに特徴的な細菌の代謝遺伝子を十分に検出できないことがわかったため、新しいパイプラインの構築を行なった。 また、出産・育児により6ヶ月間の研究中断期間があったため、研究の進捗が遅れた。 さらに、新型コロナウイルス拡大防止のため、参加を予定していた学会が中止となり、成果発表や情報収集などの機会が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は第一に、前年度に着手した、メタゲノムデータから細菌遺伝子を定量的に解析するのための新しいパイプラインの構築を行い、算出した腸内細菌の遺伝子組成に基づく機能的側面での腸内環境のタイプ分けを行う。特に、腸内細菌の代謝機能のうち、これまでの研究で大腸がんとの関連が確認されたアミノ酸代謝に注目し、その個人多様性を解析する。 第二に、細菌遺伝子の変動がどのように発がんに寄与しているかを腸内環境のタイプごとに明らかにすることを目的とし、個人の腸内環境の初期条件を考慮した腸内環境状態遷移モデルを構築し、がんに至る腸内環境の変化を明らかにする。アミノ酸代謝を担う菌の競合関係について数理モデルを構築しシミュレーションにより妥当性を検証する。 2022年度は、腸内環境を特徴付けるその他のファクターとして第一に、患者さんの食生活習慣に、第二に腸内細菌の栄養共生に注目して研究を推進する。食生活習慣については、疫学・統計学的手法を用い、食事や生活習慣を腸内環境のタイプ別に健常者とがん患者で比較検証する。食事や生活習慣を腸内環境状態遷移モデルと関連づけることで、食生活がどのように腸内環境を変え、がんの発症を招くのか検証する。腸内細菌の栄養共生については、既存の研究で公開されているヒト便検体由来の腸内時系列メタトランスクリプトームデータを用い、栄養共生が腸内環境状態の遷移にどのように寄与しているのか解析する。 最後に、研究成果を国内外の学会で発表する他、国際科学誌への投稿を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Metagenomic and metabolomic analyses reveal distinct stage-specific phenotypes of the gut microbiota in colorectal cancer.2019
Author(s)
Yachida, S., S. Mizutani, H. Shiroma, S. Shiba, T. Nakajima, T. Sakamoto, H. Watanabe, K. Masuda, Y. Nishimoto, M. Kubo, F. Hosoda, H. Rokutan, M. Matsumoto, H. Takamaru, M. Yamada, T. Matsuda, M. Iwasaki, T. Yamaji, T. Yachida, T. Soga, K. Kurokawa, A. Toyoda, Y. Ogura, T. Hayashi, M. Hatakeyama, H. Nakagama, Y. Saito, S. Fukuda, T. Shibata and T. Yamada
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Journal Title
Nat Med
Volume: 25
Issue: 6
Pages: 968-976
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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