本研究は、モーリス・メルロ=ポンティ(1908-1961)とマルク・リシール(1943-2015)という20世紀を代表する二人の現象学者の思想を研究することで、現象学という哲学領域の身体理論に新たな知見をもたらすことを目的としている。とりわけ、子どもや患者の身体を欠落的な側面からもっぱら検討してきた旧来の身体概念の刷新することが、本研究の具体的な目標となる。 同時に、本研究はこの二人の現象学者が参照した発達心理学、精神病理学、教育学の文献を検討し直すことで、これらの学問領域における既存の身体概念に新たな観点を提供し、対話の機会を創出することも目的としている。
|