Formation and Structure of the Post-nostalgic Aesthetics
Project/Area Number |
19K00132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大橋 完太郎 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40459285)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ノスタルジー / 近現代美学 / 比較文化論 / 近代資本主義 / ポストモダン / フランス現代思想 / フレンチセオリー / 記憶と芸術 / ノスタルジー・記憶 / 消費文化論 / 感性論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は現代感性論としての「ポスト・ノスタルジー」を考察するに当たって以下の3点からのアプローチを採用する。 A. 近代から現代に至る「ノスタルジー」概念と芸術との関係 B. 記憶と表象・イメージの構造、およびフィクションの構造に関する理論的検討 C. 消費社会における大衆文化と記憶の関わりを説明する北米文化理論の検討 現代までのノスタルジーの諸相を明らかにし(アプローチA)、フィクション的な仕組みに基づく記憶の様態を理論化し(同B)、さらにそれが現代社会においてさまざまな意匠となって集合的記憶を強化する仕組みを解析する(同C)。こうしてポスト・ノスタルジーにおける「記憶の動員」効果を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、現代の文化理論、および美学・芸術学的観点を重視した現代哲学の議論を精査し、そこにおいてノスタルジーがどのような近代的機能を帯び、またさらなる近代化(ポスト近代)向かうために、その表象装置がもたらす利点と不利益とを確認した。 具体的な成果としては、早稲田大学で開催された表象文化論学会における研究パネルにおいて「個の救済とポップなもの」という発表を行い、脱歴史化されたポストモダン的高度資本主義社会において表れている存在と美の様式について、それを「ポップなもの」として扱うことに伴う文化的意味と、そこにおいて切断されるノスタルジー的要素との関係を考察した。 もうひとつの成果は、雑誌『現代思想』に掲載された宮崎裕助、千葉雅也、両氏との鼎談がある。ポストモダンを再考するという企画趣旨のもと進められた本鼎談においては、1960年代以降欧米から発して日本にも学術的にも文化的にも大きな影響を与えたポストモダンとその哲学を歴史化することの意義が検討され、とりわけその動向がたとえば80年代ノスタルジーを形成しないために、それらにどのような学術的展開を与えることが必要であるかなどが議論された。 執筆されたものとしては、『啓蒙思想の百科事典』に、「理神論」および「小説(フランス)」を執筆し、近代初期における信仰と理性の関係、および近代的個人における内面性の発達と言語表現の関係などを精査し、執筆内容には直接反映されるものではないが、こうした要素が同時代におけるノスタルジーの発生を促した一因となっていることが確認できた。 いずれの成果においても、本科研による文献調査や考察がベースになっており、一連の研究を通じた執筆が、その論文化・書籍化を目的として進められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外での調査および海外学会(国際美学会)の開催延期によって、中間段階での研究成果を精査する機会が失われている。来年度にはある程度状況が回復するのではないかと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
幸いにして2022年度の前半期に海外調査の機会を得ることができているので、ノスタルジーの歴史的発展について西洋の文献を網羅し、またそれらが最新の理論的動向のなかでどのように評価されているかを検討することができると考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(18 results)