中世イタリアの宗教画における周縁と境界:画像と観者を結ぶ媒介機能に着目して
Project/Area Number |
19K00205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
松原 知生 西南学院大学, 国際文化学部, 教授 (20412546)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ジョット / イタリア美術 / ゴシック / 中世絵画 / 聖母子像 / フィレンツェ / アッシジ / フランシスコ会 / 煉獄 / 至福直観 / サン・フランチェスコ聖堂 / フランチェスコ会 / マグダラのマリア / マッダレーナ礼拝堂 / ドゥッチョ / チマブーエ / シエナ / 中世美術 / イタリア絵画 / 聖母崇拝 / スクロヴェーニ礼拝堂 / 受胎告知 / パドヴァ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、13世紀末から14世紀前半にかけてのイタリア、とりわけ中部のトスカーナ地方で活躍した画家たちによる宗教画に、従来とは異なる角度から光をあてることを目的とする。すなわち、画面の周縁部や境界という、これまであまり重視されてこなかった領域に配置されたモチーフの表現と組み合わせを分析することで、それらが当時、絵を間近から仰ぎ見て拝んでいた聖職者や信者たちの視覚や触覚にどのような影響を及ぼしていたのかを考察したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度まではジョットが手がけたフレスコ壁画を中心に考察を行ってきたが、本年度は同じ画家によるテンペラ板絵、すなわち彼の代表作である《オンニッサンティの聖母》(フィレンツェ、ウフィツィ美術館)をとり上げ、本作が観者に対してもちえた媒介機能について、これまでとは異なる2つの観点から、新しい解釈を試みた。 第一に、ジョットがオンニッサンティ聖堂のために描いた他の作品群との関連性に注目し、画家が複数の作品間に様式的・主題的・構造的なコントラストをさまざまな仕方で導入していることを指摘した。とりわけ《聖母の死》(ベルリン、国立絵画館)との比較により、ジョットが本作品において、観者を画中に招き入れるための「空所」を画面下方に設定し、聖母マリアの足元へと想像的に接近させようとしていることが明らかとなった。 加えてもうひとつの(この場合は作品内的な)コントラスト、すなわち構図の最下部に描かれた色大理石の石段と、アンモナイトの化石が埋まった白大理石の床面の間の対比関係にも注目した。地質学が未発達であった中世において、アンモナイトの化石が死せる蛇の形象を宿した石とみなされていたことを踏まえるなら、画面最下方の白大理石の床面は死すべき地上界=質量界、画面最上方の聖母子や聖者たちが居並ぶ天上は永遠の天上界=形相界を、それぞれ表象しているといえる。この点を踏まえ、両者の中間に位置する、色とりどりのマーブル模様で充満した石段は、観者を天上へと導く「生きた質量」、すなわちイエスの受肉を実現したマリアの聖なる「肉」を現前化しているという仮説を導き出した。 以上の考察内容について、美術史学会全国大会のシンポジウムにおいて発表するとともに、論文としても文章化が完了し、2024年6月に出版される予定である。
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Report
(5 results)
Research Products
(9 results)
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[Book] 転生するイコン2021
Author(s)
松原 知生
Total Pages
652
Publisher
名古屋大学出版会
ISBN
9784815810078
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[Book] 美学の事典2020
Author(s)
美学会
Total Pages
768
Publisher
丸善出版
ISBN
9784621305423
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