Project/Area Number |
19K00254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
石崎 誠和 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 准教授 (20618970)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 現代日本画 / 筆墨表現 / 写生と写意 / 日本美術の省略法 / 余白 / 日本画 / 東洋画 / 膠画 / 水墨表現 / 省略法 / 近代日本画 / 制作論 / 和紙 / コラージュ / 中国水墨画の近現代化 / 水墨表現の系譜 / 中国現代水墨画の近現代化 / 日本美術 / 中国絵画の近現代 / 絵画の省略法 / アジアの絵画との比較 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本画の前近代の水墨表現と琳派等の装飾表現の二様式のうち水墨表現の雪舟から等伯が成し得た和様化の系譜に注目し、省略の方法論を軸に筆墨表現と現代日本画表現の混淆を試み独自の方法を研究する。同時に中国の水墨表現の近現代化との比較研究を行うことで日本画の方法の独自性を明確にし、アジアや、または欧米に対しての独自性を提示することを研究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究(1・和紙の質感を活かしながら岩絵具による存在感がある背景の研究、2・筆墨表現と和紙の素材によっ て画面に生まれる時空間)によって制作された2点「きえのこる庭」と「震れる」に加え、「桜」の制作を行った。「桜」の制作では屋根越しの桜を描き、手前の屋根を固定した視点で描き、桜は画面と並行の視点で横にスライドしながら捉えることによって複数の視点を画面に共存させた。また和紙の色と素材を生かすために、薄塗りで明るい画面となるように研究した。また墨のたらし込みによる滲みを作った上に桜を描写し、その後に背景の滲みを桜に同化させるように描くことによって、これまで認識できなかった和紙の表面の薄い層を生み出すことに成功した。このような和紙の表面の薄い層を認識できるようになることによって、省略法として、新たな観点を得られるのではないかと考えている。 また 本年は研究成果の発表に重心を置き、東京日本橋のanpelギャラリーで1月に研究発表展を開催した。開催中には来場者と意見交換しながら研究成果を報告した。本研究の成果として和紙や岩絵具や墨の日本画にとって重要なそれぞれの素材を活かしながら一つの画面の中に共存させることを実現できたことや、その複数の視点と、観念的な飛躍を誘因する画面を生み出すことを報告した。これらの成果に対して、その独自性についても一定の評価を得ることが出来た。 また中国の水墨山水表現の研究において、現代中国の山水表現の源流として「写生から写意」への転換点としての元時代の水墨表現が明確に認識出来るようになった。写生を源流とする日本美術史と写意を源流とする水墨山水が明確に認識できるようになって、研究の独自性を明確にする上で大きな指針を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで研究した制作の方法論を制作研究を明確にしながら研究報告展を開催することが出来た。現代中国の宋、元、明、清の水墨表現を研究し、元代の写意画への変遷を理解することによって中国における現代水墨表現理解を深めることが出来た。 今後は研究成果の実践としての制作研究を行いながら、報告書の作成に取り掛かる。また室町から安土桃山時代にかけての水墨表現の黎明期を引き続き研究し、水墨表現の日本化を明確にする。その過程で、如拙、周文、雪舟、等伯を辿り、日本における宋代の「写生」の受容と変遷を研究するとともに、中国元時代の水墨表現、いわゆる「写意」の受容を探り、研究を補強したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年を最終年として、研究の成果を報告書としてまとめるために、他の研究者に研究を報告し意見を求めるなどしながら、他の研究と接続し、深めたい。また日本における元時代の水墨表現の受容を探ることで、その後の日本化と中国の水墨表現を比較することや中国における現代水墨表現の動向などを注視し、本研究の独自性を明確にしたい。課題としては現在の中国の水墨表現の動向を探る方法が明確ではないことで、情勢が許せば現地視察の可能性も探っていきたい。
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