Project/Area Number |
19K00299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022) Osaka City University (2019-2021) |
Principal Investigator |
小林 直樹 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40234835)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 無住 / 大蔵一覧集 / 仏教類書 / 景徳伝灯録 / 沙石集 / 宋代 / 首楞厳義疏注経 / 三国伝記 / 律 / 禅 / 修験 / 夢窓疎石 / 禅律 / 宗鏡録 / 源実朝 / 栄西 / 寿福寺 / 宋刊仏書 / 遁世僧 / 説話 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、鎌倉時代に入宋僧が将来した宋代の刊行仏書を、説話伝承文学の世界にゆかりの深い遁世僧が、いかに受容し、自らの著作の中にいかに結晶させていくのかを追求しようとするものである。 『沙石集』の著者として知られる無住をはじめとする遁世僧が、仏教の総合化が目指された宋代の特質を体現するともいえる『宗鏡録』や関連する宋刊仏書を、どのように受け止めたか、日宋双方の典籍の文脈をつぶさに押さえながら検討し、新来の知識や思想が遁世僧に与えた影響と、それが説話伝承文学の世界にもたらした文芸上の展開とを明らかにしたいと考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、鎌倉後期の遁世僧・無住が、南宋代に成立した仏教類書である『大蔵一覧集』をどのように利用したかについて考察を行った。この問題については、かつて拙稿「無住と南宋代成立典籍」(『文学史研究』第53号、2013年3月)でも触れたが、その際には、無住が『大蔵一覧集』を閲読していた可能性は十分にあるものの、決定的な証左には欠けるとし、『宗鏡録』や『景徳伝灯録』と『大蔵一覧集』に同話がある場合には、無住の著作の出典としては『宗鏡録』や『景徳伝灯録』を指摘せざるをえないと述べた。 しかしながら、あらためて『沙石集』の説話で『景徳伝灯録』と『大蔵一覧集』に同話を認める、巻1第8条、巻3第1条、巻4第1条の説話を仔細に検討すると、それらの説話には『景徳伝灯録』を参照してはじめて知りうる要素が存するため、『景徳伝灯録』が出典であること自体は動かないものの、各話の説話構成自体はいずれも『大蔵一覧集』に極めて近似しており、無住が『大蔵一覧集』のコンパクトな構成に倣って、『景徳伝灯録』の当該部分を切り取りながら説話構成を図った可能性が高いのではないかと考えられる。この場合、『大蔵一覧集』は『沙石集』の出典とは言いがたいが、無住を『景徳伝灯録』へと導く案内書的、索引的役割を担ったと考える余地は十分にあろうと思われる。 本研究は、『大蔵一覧集』という仏教類書の遁世僧による新たな利用法について明らかにした点に意義があると認められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
体調を崩したこともあり、前年度までの遅れを取り戻すに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度叶わなかった、無住と禅語録との関連についての研究を進めたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(2 results)