本研究では、平安後期の主要な漢詩文集『本朝続文粋』『中右記部類紙背漢詩集』『詩序集』『内宴記』『法性寺殿御集』の五書について、詳細な注釈を施し、その作者の伝記を作成することを行なう。注釈には底本の本文、他本との本文異同、校訂本文、訓読文、語釈、現代語訳、制作の年時・事情の各項目を設けることとする。語釈に引用する漢籍の本文には、訓読文を付け、理解を容易ならしめるように配慮する。また、作者の伝記は注釈に連携させて示すこととする。これによって、当時の漢詩文の殆ど全てが注釈されることになり、平安後期の漢文学を本格的に研究するための基盤が確立できるものと思われる。
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