Project/Area Number |
19K00342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
土佐 朋子 佛教大学, 文学部, 教授 (00390427)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 勅撰三漢詩集 / 教林文庫旧蔵『凌雲集』 / 『懐風藻』 / 本文系統 / 大津皇子 / 『凌雲集』 / 屋代弘賢 / 堀杏庵 / 大友皇子伝 / 葛野王伝 / 肖奈行文 / 懐風藻 / 亡名氏「歎老詩」 / 白雲書庫本 / 拈華微笑 / 経国集 / 文華秀麗集 / 凌雲集 / 伝本・本文系統 |
Outline of Research at the Start |
『懐風藻』の校本を完成させると同時に、勅撰三漢詩集『凌雲集』『文華秀麗集』『経国集』の諸伝本・本文の性格および系統を明らかにし、最善本文を見出すことを目的とした、日本古代漢詩集の文献学的研究である。『懐風藻』については平成22年度以来、科研費の交付を受けて行ってきた研究を発展的に継続させる。勅撰三漢詩集については、本科研費によって初めて研究を開始する。未発見の伝本の発掘に努めるとともに、すでに現存が確認されている伝本も改めて調査を行う。『懐風藻』の研究で得た知見も活用し、従来の群書類従系と非群書類従系に大別する考え方を超える、新たな本文系統図を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
①山本読書室所蔵『懐風藻』写本の性格に関する研究。この読書室本は、前遊紙裏中央に「杏菴堀先生真筆」と墨書されるが、基本的には宝永二年版本の転写本であり、堀杏庵書写本ではない蓋然性が極めて高い。ほぼ全ての『懐風藻』現存諸本が持つ「懐風藻目録」がなく、懐風藻の正文であるはずの人物伝が細注形式で書されるなど、忠実な転写本ではない。むしろ『懐風藻』をよく知らない人物による書写と推測される。書写時期は、宝永二年(一七〇五)以降、寛政五年(一七九三)頃までの間であろう。書写者は不明だが、儒医志望の某人か。裏見返し左下の墨書「祖仁」は書写者の署名かとも思われるが不明。この二文字の右に「コエ(ヱか)名ハナイゾナイゾナイゾ」という謎の朱書がある。巻末にほぼ全ての『懐風藻』現存諸本が有する「長久二年奥書」と「康永元年奥書」の二つの元奥書が書されるが、「康永元年奥書」の下に「正意」という堀杏庵の雅号が書き加えられ、「正意」の下には「アヤウナバカガキヲシヨツタアホウ ヱラヒアホウジヤ」の朱書がある。この「正意」によって「堀杏庵真筆」とされたのであろうが、これは堀杏庵を気取る書写者某人が書き添えたものに過ぎないだろう。蔵書印は、正方形陽刻陰刻を組み合わせた朱印「是島」、正方形陽刻朱印「月句之裏華浮吟中」、長方形陰刻朱印「淵黙雷声」、長方形陽刻朱印「莫弄物喪志」の四種。 ②懐風藻詩人大津皇子の『日本書紀』『万葉集』における造形に関する研究。『日本書紀』では知識人を従えて内乱を起こした硬派なエリートとして造形され、『万葉集』では秩序や常識よりも自らの欲望を優先する自由奔放、大胆不敵な人物として造形されていることを明らかにした。 ③早稲田大学蔵の教林文庫旧蔵の写本の研究。この教林文庫本『凌雲集』は、まだ紹介されたことがないが、かなり古形の本文を伝えているのではないかと見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
『懐風藻』の研究は順調に進んでいる。しかし、勅撰三漢詩集の諸本調査については、コロナ禍の影響が大きく、順調には進められていない。大学図書館では学外者の閲覧を中止しているところが多く、またその他の所蔵機関においても、人数制限を設けるケースが多く、所蔵機関での調査がなかなかできない。そのため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
『懐風藻』については、これまで通り、本文研究の成果を活かして作品そのものの研究および奈良朝期における漢詩文創作と懐風藻編纂に関する研究へと進めていく。同時に、未発見の伝本がないかどうかの調査も行っていく。勅撰三漢詩集については、まずは『凌雲集』を中心として、収集した本文の整理と分析を進める。また、所蔵機関での調査については、コロナ禍の状況を見極めながら、可能なところから順次実施する。調査の際には、あわせて『文華秀麗集』と『経国集』の調査と本文収集も行うことにする。
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Report
(4 results)
Research Products
(13 results)