Project/Area Number |
19K00454
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
中村 哲子 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (20237415)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | アイルランド / 飢饉 / 19世紀 / 小説 / 旅行記 |
Outline of Research at the Start |
ジャガイモ飢饉とも呼ばれる1840年代後半にアイルランドを襲った大飢饉は、飢饉の最中から飢饉直後までに多くの旅行者によってその実態が書き残された。こうした旅行記とともに、飢饉は小説においてもさまざまに語られ、アイルランドの記憶として受け継がれることとなった。フィクションをノンフィクションと比較検討することにより、飢饉の文学的語りと表象の意義を解明する研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては、以下の3点について分析・考察を進めた。結果的に並行して課題に取り組むこととなり、発表できる形で成果をまとめるまでには至らなかったが、2024年度での取りまとめを目指して展開した。 1.2022年度からの継続的なテーマとして、大飢饉からの回復期にあたる時期に書かれた旅行記等の記述の検討を続け、飢饉の傷跡の深いアイルランド西部へのまなざしについて考察を深めた。1849年の抵当地法により、負債を抱えた地主による土地の売却が可能となったが、こうした歴史的文脈の中で、西部の土地の可能性に期待する移住者による言説について検討した(ジョン・H・アッシュワースやディグビー・ニーヴ等による著作)。一方で、ウィリアム・ワイルドといったアイルランド在住者のポスト大飢饉のアイルランドへの見通しは対象的とも言える面があり、アイルランドをめぐるコロニアルな視点を地域性との関連で議論することが可能となった。 2.飢饉の犠牲者としての女性と子どもをめぐる言説の再生産について整理考察する作業を進めた。2022年度までに分析したテクストについて、当該情報を整理するとともに、20世紀末から21世紀初めにかけて出版された大飢饉を舞台とする小説において、同様の言説や描写が再生産されていると判断できる点について確認した。 3.大飢饉後に書かれたウィリアム・カールトンの『スクワンダーズ城のスクワンダーズ家』(1852年)は飢饉を描く小説として認識されており、その描写についての分析・考察を進めた。 本研究は1810年代から1860年代までの飢饉をめぐる言説についての考察を軸に展開しているが、現代への視点についても意識を高めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度までに進めた研究内容を確認しつつ、研究の取りまとめに向けて扱うべき作品や視点を整理し、関連文献の渉猟ととともに、作品分析と考察を進めた。3つの研究課題に取り組む結果となり、論考を絞りきれずに成果として明確な形で発表が叶わなかった点を真摯に受け止め、次年度での研究推進を図る。 当初、1870年代の作品群も視野に入れて研究を展開する予定であったが、現在の進捗状況から1860年代までの研究として取りまとめる方向として進めていく。次年度には、成果を確定していく方向で研究を展開する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度が研究とりまとめの最終年度となるため、以下のように研究推進を図る予定である。 年度前半:2023年度に進めてきた3つの方向性をもつ研究内容について、その成果を問う形にまとめる(研究発表および報告論文を予定)。 年度後半:本研究課題で取り組んできた1810年代から1860年代までのアイルランドの飢饉をめぐる小説と旅行記に見られる言説ついて、注目できる研究ポイントを整理するとともに、本研究の発展として把握すべき重要課題を抽出する。その過程で、本研究の成果と意義を確認し、成果として発表できるものを準備する。年度内に投稿できる論文等も用意する予定。
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