本研究では、ナチドイツ・宣伝省による報道統制の実態を、言語学と歴史学の協働により解明する。報道の「内容」(なにを?)ではなく、報道の「形式」(どのように?)に関する統制のほうに注目し、開戦前と開戦後等の時期ごとに報道文における言語形式(言語使用)にどのような傾向性があるのかを、コーパス言語学の手法で量的に抽出するとともに、修辞学(スローガン分析を含む)の観点から質的にも分析する。そのうえで、報道文(新聞)における言語形式の通時的変化が宣伝省の言語統制方針の変遷と一致するのかについて検討し、言語統制の影響力について最終的に考察する。
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