本研究は、「部分構造」(A of B形式)と、類似の意味を表す句形式や節形式を対照言語学的に考察し、個別の形式の統語的・意味的特徴を記述するとともに、形式間の共通性や代用の可能性について検証する。具体的には、ofの後ろの名詞句が定でなくても容認される部分構造(部分構造制約を免れるもの)、there存在文の意味上の主語に生じることが許される部分構造(定性条件を免れるもの)、先行詞と遊離数量詞の組み合わせによって通常とは異なる部分・全体の関係を表す数量詞遊離文などに注目し、類似の意味を表すほかの形式と比較することによって、部分関係の成立条件(構成要素の組み合わせや生起環境など)を解明する。
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