日中経済摩擦の研究―1917から1944年領事官会議録・領事報告からの検証―
Project/Area Number |
19K00982
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
佐藤 元英 中央大学, 政策文化総合研究所, 客員研究員 (70276450)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 領事官会議 / 排日 / 排貨 / ボイコット / 満洲事変 / 日中戦争 / 経済摩擦 / 満蒙問題 / 南洋 / 東方会議 / リットン報告書 / 満州事変 / 領事官報告 / 排日貨 / 抗日運動 / 経済提携 |
Outline of Research at the Start |
領事官の実務として集積された領事官会議録をデータベース化する研究作業から、日本の広域支配圏の形成変化に伴う日中経済摩擦の実態と排日貨・抗日運動の変容、日英米間の経済抗争の実状を分析し、さらに領事官会議の決定は、どのようにして国策に取り入れられたのかを明らかにする。 研究の方法として、①在南支領事官会議、②在中支領事官会議、③在北支領事官会議、④在満州領事官会議の記録群に分類するとともに、領事官会議開催の目的の変容から、第一期1917年~30年満州事変前、第二期1931年~32年満州国の建設まで、第三期1933年~36年日中戦争前、第四期1937~44年日中戦争後、の4時期に区分し整理分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ 領事官会議録を①在南支領事官会議(福州・広東総領事館、雲南・汕頭・厦門等の領事館)、②在中支領事官会議(上海・香港・南京・漢口等総領事館、宜昌、沙市・九江等領事館)、③在北支領事官会議(天津・青島・済南等総領事館)、④在満州領事官会議(哈爾賓・奉天・吉林・長春・間島等総領事館)の記 録群に分類するとともに、領事官会議開催の目的の変容から、第一期1917年~30年満州事変前、第二期1931年~32年満州国の建設まで、第三期1933年~36年日中 戦争前、第四期1937~44年日中戦争後の4時期区分に整理し、それらの記録の詳細目録と報告書等のデータ入力をほぼ完成させた。 Ⅱ 外務省記録の政治・外交・経済関係に収められている排日排貨関係等について、以下の報告書目録(全36頁)を作成した。済南事件 排日及排貨関係(25冊)、支那国慶及記念日ニ於ケル排日状況関係雑件(15冊)、万宝山農場事件 排日関係(6冊)、満洲 事変 排日排貨関係(35冊)、各国ニ於ケル排日排貨関係雑纂 中国ノ部(9冊)、各国ニ於ケル排日、排貨関係雑纂 中 国ノ部 菜種抑留事件(1冊)、各国ニ於ケル排日、排貨関係雑纂 中国ノ部 関東庁報告ノ部(1冊)、各国ニ於ケル排日、排貨関係雑纂 中国ノ部 漢口ノ部(2冊) 日本外務省に所蔵されている中国による排日排貨運動に関する記録のデジタル化は、日本の通商貿易、資源獲得等、さらには日中間の外交と軍事を分析する上に多面的情報を提供するものと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国の排日排貨運動の変容についての解説を作成した。「Ⅰ 日本を含む欧米との不平等条約に抵抗する、排外運動としての反日運動の時代」 「反日運動 第一期 単純ボイコット 1908~1909」 清国時代の排外運動の一環として、日本に対してもボイコット運動が起こる。1905年のボイコットは上海総商会に集合した上海商 民団による。1908年の対日ボイコットは日本汽船辰丸が武器弾薬を密輸しているとの嫌疑起因し、香港・広東で排日運動が起こる。1909年安奉線の鉄道改築・改 良に対する日本の要求に対するボイコットが起る。 「第二期 運動政治化の時代 1915~1923」 日本の対華21ヵ条に対するボイコット運動が昂揚し上海において は「勤用国貨会」が成立して運動の中心的役割を担った。1919年北京の学生団による5・4運動が展開すると、上海にも「全国学生連合会」が組織され、1920年初 頭まで排日運動が展開された。1923年旅順・大連租借地回収をめぐって、漢口を中心として中支全域に排日運動が展開された。「排日規約」に基づく経済絶交が 組織的になった。「反日運動 第三期 国民党指導開始時代 1925~28」 蒋介石の国民革命軍による張作霖軍打倒の北伐の時代であるが、張政権擁立を支援する日 本への国民党政権の排日運動が展開する。済南事件が発生すると、排日運動は中国全域にひろまった。 「Ⅱ 満洲事変以後の日本の軍事行動に対する、国民党政権による組織的抗日運動の時代」抗日運動 第一期 国民党及び国民政府領導時代 1931~1934 国民党党部は「反日救国会」の名称の下に活動する諸団体を指導してボイコットを展開させた。国民党による指導、組織、監督によってボイコット実行方法が統一性、均一性を保つようになった。「抗日運動 第二期 共産党指導時代」(抗日人民戦線時代)及び「抗日運動 第三期 全国的抗日態勢時代」の1935以降は今後の整理とする。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカ側から見た中国の排日・排貨運動の実態について、以下の2点の調査と、情報のデジタル化である。 ① Correspondence of the U.S. M.I.D. relating to General, Political, Economic, and Military Conditions in China, 1918-1941(National Archives and Records Administration)米国陸軍省軍事情報部(Military Intelligence Division:MID)』によって提出された報告書(マイクロフィルム)であるが、中国各地に派遣されていた米国の駐在武官によって情報蒐集され定期的に陸軍省に報告されたものである。その内容は、中国の政治、経済、軍事のほか、社会情勢、人口統計、資源生産、産業など多肢にわたるが、中国の抗日運動に関する貴重な報告も存在する。 1915年の「対華21ヵ条要求」に対して起った「五・四運動」、1919年パリ講和会議中討議の「山東問題」に関連して起った抗日運動、1923年日本が延長した関東州租借を原期限に返還要求運動、1925年上海の日本紡績工場における労働争議、1927年山東出兵に対するボイコット運動、1928年~29年の済南事件に対する排日運動、1931年~32年の満洲事変に対する排日運動、また、それ以後1941年までの、日中武力衝突にともなって中国各地で昂揚した排日運動の実情について報告されている。 ② Records of the Dept. of State relating to Internal Affairs of China, 1910-1949 中国の国内事情:米国国務省文書(マイクロフィルム)は、米外交官・領事・その他民間人が送った報告書を中心としており、満州事変に関するリットン調査団の報告書なども収録されている。日本の領事官報告に相応する。
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Report
(4 results)
Research Products
(5 results)