A Study of Chu Culture in the Changjiang River Basin:The Cultural Background of the Birth of the Han Dynasty
Project/Area Number |
19K01025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
太田 麻衣子 国士舘大学, 文学部, 准教授 (10713547)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 越の起源 / 秦漢交代期 / 張楚 / 中国古代 / 秦 / 故塞 / 故徼 / 蛮夷 / 越 / 江浙地区 / 秦末漢初 / 印紋硬陶 / 灰釉陶器 / 楚 / 春申君 / 陳勝・呉広の乱 / 懐王の約 / 「楚式墓」 / 戦国秦漢期 / 出土資料 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、漢のように既存の貴種性には依拠せず成立した国家が、なぜ前3世紀末の中国に誕生しえたのか、その際になにが人びとを糾合する紐帯となったのかを、秦文化・楚文化を中軸とする一種普遍的な文化の形成と共有に着目し、文字資料・考古資料の双方を利用しながら解明する。これにより、戦国から秦、そして漢への歴史的連続性を明らかにすると同時に、戦国秦漢期の中国における支配の広がりと文化の受容・非受容の関係性、文化的共同体の成立と国家形成の関係性について考察し、古代帝国の誕生に文化が果たした役割について究明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず長江流域だけでなく嶺南にも目をむけ、春秋後期に抬頭した越国や、戦国後期の史料に初出する百越、およびその百越を統一秦が制圧し、中国の王朝の支配を嶺南にまで拡大させたことにより、秦漢交代期に誕生することとなった南越国にかんする史資料や先行研究の整理・検討を行った。越については史料的制約から諸説乱立するところが少なからずあり、その起源についても議論百出の状態にある。なかには越をオーストロネシア系諸族に連ねようとする観点もあり、春秋呉越の言語をオーストロネシア語族と同源とみなして解釈した研究もなされているが、これについては倭にかんする論著のなかで、漢籍に散見する呉越語の語彙はオーストロネシア的ではなく、文化内容は似ていても言語のうえでは異なるという指摘もあることが分かった。また、甲骨文をもとに、越は殷代にはすでに国家形成を進め、中国の王朝とも深い関わりをもっていたとする説もかねてより提唱されており、様々な角度から批判されてきたが、近年の古文字学の成果と照らしあわせたところ、この説はそもそも成立しえないことが分かった。 つぎに、先行研究には南越が秦漢交代期の楚の影響を受けているという指摘もあることから、関連する史資料や先行研究の整理・検討も行った。秦漢交代期の楚については、馬王堆帛書「五星占」に記された「張楚」の語をもとに注目が高まり、以来その重要性が強調されてきたが、近年では伝世文献を軸に、「張楚」にたいする従来の解釈は過大評価であるとの指摘もなされている。ただし、「張楚」の語は「五星占」のほかにも馬王堆帛書「刑徳」や益陽兔子山遺址八号井出土の觚など、いずれも湖南省から出土した複数の出土史料にみられ、当時の当該地域においては一定の重要性をもった語であったとは考えられる。そこで「五星占」や「刑徳」の史料的性質に留意しながら、「張楚」の位置づけについて再検討を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はもともと長江流域に主眼を置いたものだったが、COVID-19により研究方針を転換し、また簡牘史料から新たな視点も得られたことから、越に主眼を置くことにした。その結果、本年度は嶺南にも目をむけ、それにともないベトナム地域にも関心を抱くようになった。くわえて、越にかんする史資料は性質が多岐にわたっており、文献史学だけでなく考古学・古文字学・言語学など多方面から研究が行われている。それでいて史料的制約も大きいことから、諸説乱立する事柄も多々あり、本年度はそれらの整理・検討に時間を費やした。自説をある程度かためられたとはいえ、研究成果として公表するまでには至らなかったことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
中国の南方にたいする地理認識の拡大と、越が中国に取り込まれていく過程、およびそれと戦国期における楚と秦漢交代期における楚がどのように関わっていたのかを明らかにすることを念頭に、本年度までに整理・検討した結果を研究成果として公表できるように尽力したい。対象とする範囲をベトナムにもひろげてみたいが、期限も迫っていることから、それは別の研究課題にとっておくべきかとも考えている。
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Report
(4 results)
Research Products
(5 results)