Project/Area Number |
19K01517
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
柴山 太 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (50308772)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 西側同盟ネットワーク / 日米安全保障条約 / ANZUS条約 / 英米同盟関係 / 1951年 / 第3次世界大戦 / 英連邦防衛 / 冷戦の起源 / 西側同盟 / ロング・ピース / 自由主義国際秩序 / 西側陣営の同盟ネットワーク / マーシャル・プラン / 反マーシャル・プラン闘争 / NATO / アンザス条約 / 英米軍事同盟 / 英米核協力 / ブラケット / 国際関係史 / 西側陣営 / 北大西洋条約 / 英米加軍事同盟 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、西側軍事同盟網の制度・組織・運営の実証的分析をつうじて、国際関係を動かしているのが、欧米学界が注視する大国間関係ではなく、むしろ陣営(ブロック)間関係であることを証明することである。例えば、冷戦初期、米国には単独で対ソ全面戦争を行うための戦争計画は存在せず、むしろ1948年春以降、英米加が共同で対ソ総力戦を行う戦争計画・世界大指揮組織を立案し、さらに兵力計算・軍事基地整備まで始めていた。本研究は、大国中心の国際関係分析がこれまで見落としてきた、陣営による大国へ優越・拘束を、西側主要国の軍事・外交の第1次史料を駆使した形で、叙述・分析しようとするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績のハイライトは、2023年9月14日に、防衛省防衛研究所主催の「戦争史研究国際フォーラム」(Zoom方式)で発表した、「西側陣営全体にとっての1951年の極東での西側同盟ネットワークづくりと新日本の戦略的意義」と題したプレゼンテーションと、同プレゼンテーション内容を強化した、同研究国際フォーラム紀要用の原稿作成である。この原稿(全69頁)は、2023年12月末に防衛省防衛研究所に提出し、2024年度中に出版される予定である。 この研究は、1951年における極東での第1次西側同盟ネットワークづくりの内容について、英米日そして豪州・NZの軍事・外交史料に基づき、同年8~9月に締結された、米比相互防衛条約、ANZUS条約そして日米安全保障条約には、どのような軍事的つながりがあったのかを明らかにした。最も重要な発見は、西側同盟ネットワークを主導する英米加のなかで、とりわけ英米が、これらの米国が関与する3条約体制について、積極的な関与を行い、3条約を巧みに関連させ、大英帝国・英連邦全体の安全保障を確保していたことを実証できたことである。すなわち英国は、一方で、日本の将来脅威を恐れる豪州とNZをなだめるための米国関与を図り、米海軍が豪州・NZを日本と中国そしてソ連の脅威から守ることを、米国から約束として取り付け、他方で、英国は豪州とNZの地上兵力を大英帝国の中東防衛に派遣するように働きかけ、米国の承認を得ていた。その次に重要なことは、英米両政府・軍部間の議論によれば、第3次世界大戦が勃発した場合、米国は日本が同盟総力戦上のパートナーとして活躍することを期待しており、同大戦では、日米英が中心となって戦争を遂行すると考えていた(当時、フランスとイタリアそして西ドイツ地域は、大戦開始後すぐにソ連地上軍に席巻されると想定されていた)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1951年の米比同盟、ANZUS条約および日米同盟の関連性を軍事・外交両面において実証的に分析できたことは、本プロジェクトとしては、良き展開であったと思われる。しかし、この研究の後に、極東での西側同盟ネットワークにおける、第2次同盟網づくりの波との関係を調べることが、極東での西側同盟ネットワークを理解するうえで不可欠ではないか、と考えるようになった。具体的には、1953年10月1日に調印された米韓相互防衛条約と1954年12月2日に調印された米華相互防衛条約の軍事的性格の理解、とりわけすでに出来上がった米比同盟、ANZUS条約そして日米安全保障条約という同盟ネットワークが出来上がっているなかで、新しい2つの同盟は、どのような役割を期待されていたのか、という解明が必要と思えてきた。つまり、できるかどうかはともかく、プロジェクト全体を考える時に、すこしではあるが、研究フォーカスを拡大しないと、極東での西側同盟ネットワークの全体像を描き切れないのではないか、という懸念が浮上してきたのである。かくして、できる範囲で、米韓同盟と米華同盟を分析する方向を、付け加えたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在は、極東での西側同盟ネットワークづくりの第2波とも言い得る米韓同盟づくりと米華同盟づくりに関連する研究書や外交・軍事史料集集めを始めている。また、研究内容については、国際日本文化研究センターの研究プロジェクトに関連させて、できる範囲で報告したいと思っている。あと1年度しかないことを考えると、やや過大という感はぬぐえないが、それでも、これまで研究されたことがない、同盟ネットワークの軍事的構造を歴史的に明らかにすることができる、というワクワク感を禁じ得ない。
|