江戸時代前期の絵草紙屋「小泉」における絵本・絵巻制作
Project/Area Number |
19K13051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Nagoya Gakuin University (2021-2022) Nagoya University (2019-2020) |
Principal Investigator |
末松 美咲 名古屋学院大学, 商学部, 講師 (10838402)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 奈良絵本・絵巻 / 絵草紙屋 / お伽草子(室町物語) / 絵入り本 / 小泉 / 日本文学 / 絵本・絵巻 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、江戸時代前期の絵草紙屋における絵本・絵巻制作の方法を解明し、文学史の中に位置付けようとするものである。江戸時代前期には、多くの絵本や絵巻が制作されたが、その制作母体のひとつとなったのが絵草紙屋である。絵草紙屋の活動は、新たな物語を生み出す土壌になったと考えられ、中世から近世へと至る文学史の中でも重要な存在である。本研究では、絵草紙屋「小泉」の絵本・絵巻を事例として、詞書本文と挿絵、装丁などを含めた総合的なテキスト分析からその特質を明らかにする。それにより、絵草紙屋における絵本・絵巻の具体的な制作過程を究明し、その活動を文学史の上から捉えなおす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、絵草紙屋小泉の絵本・絵巻についての基礎的な研究を行った上で、近世前期の絵草紙屋における絵物語制作の方法について考察し、その活動を文学史の中に位置付けることにある。そのために、①「小泉作品の基礎的研究・資料集の作成」、②「江戸時代前期の絵草紙屋における絵物語制作の方法の究明・文学史への位置付け」という2点を軸に研究を行っている。 ①「小泉作品の基礎的研究・資料集の作成」については、これまで調査を行ってきた作品の翻刻および注釈作業を順次行っているところである。調査の結果、先行研究で知られていた「小泉」印を持つ作品のほか、「小泉」の印記が削り取られたと思われる作品も確認され、小泉作品として位置づけられるものは当初の予定よりも多くなる見込みである。 また、②「江戸時代前期の絵草紙屋における絵物語制作の方法の究明・文学史への位置付け」として、江戸時代前期における奈良絵本制作についての研究を進めた。まず、これまでにも中心的に取り上げてきた『硯わり』について、「小泉」の奈良絵本とは別系統の伝本である広島大学図書館蔵本の調査を行った。この伝本がフランス国立図書館に所蔵される豪華本と同系統であることは指摘されていたが、熟覧調査の結果、この二本の挿絵の関係性がより具体的に窺えることとなった。このほか、広島大学図書館では、『硯わり』と同じ横型奈良絵本である『中将姫』、『ふんせう』、『よしのふ』、『たはら藤太』についても熟覧した。『中将姫』の下冊に絵草紙屋の印記が認められるように、これらは江戸時代前期の絵草子屋で制作された奈良絵本と考えられる。 さらに、多くの奈良絵本が制作された『しぐれ』物語について、2019年にシンポジウムで報告した内容を発展させ、江戸時代における『しぐれ』の奈良絵本および版本の展開についての考察を進めた。この成果は次年度に論文として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大による規制が緩和されたことに伴い、国内に所蔵される伝本については概ね調査できた。しかし、本研究課題で対象とする作品のうち、海外に所蔵される多くの作品については、コロナ禍の先行きが不透明であったために未調査の状況である。まずはこれらの原本調査を行ったうえで分析を進めていく必要があるため、進捗は当初の予定から遅れている状況と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
海外渡航なども行えるようになってきたため、今後は国外所蔵の絵本・絵巻の調査を迅速に進め、各作品の翻刻や注釈など、詳細な分析を行っていく必要がある。国内作品の成果とともに、在外作品を調査・分析することによって、「小泉」系統の作品を包括的に扱うことが可能となり、絵草紙屋「小泉」における奈良絵本・絵巻制作の方法や特徴について明らかにすることができると考える。また、「小泉」作品とは異なる系統の諸本や、同時代の奈良絵本・絵巻について広くとらえることによって、江戸時代前期の絵草紙屋の活動について体系的に考察していく。
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Report
(4 results)
Research Products
(6 results)