木材からの化学物質放散挙動の解明と博物館における選定指標の提案
Project/Area Number |
19K13422
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
|
Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
古田嶋 智子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (30724588)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | 木材 / 酢酸・ギ酸 / 放散速度 / 減衰モデル / 選定指標 / 博物館環境 / 資料保存 / 酢酸 / 放散 / 吸着 / 脱離 / ギ酸 / 木材からの放散 |
Outline of Research at the Start |
博物館では、木材や木質材料からの酢酸やギ酸の放散が、博物館資料に金属腐食などの有害な影響を及ぼすために深刻な問題となっている。本研究では、博物館で木材を安全に使用するために木材からの酢酸、ギ酸の放散挙動を解明し、放散挙動を考慮した木材選定指標を提案する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
博物館では、木材からの酢酸やギ酸の放散が資料に有害な影響を及ぼすために深刻な問題となっている。資料保全のためには酢酸などの放散が小さい木材を使用するべきだが、木材は種類により放散量や放散挙動が異なるため、材の選定を困難にしている。本研究では、博物館で木材を安全に使用するために、木材から放散する酢酸、ギ酸の放散挙動を解明し、放散挙動を考慮した木材の選定指標の確立を目指した。 本研究では、国産のナラ、ヒノキ、キリ、スギ材を試験体として小型チャンバー法による放散試験を実施した。各試験体の放散試験は約1ヶ月の間に一定の間隔で複数回にわたって実施し、経時による放散速度の変化を確認した。その結果、どの試験体も酢酸、ギ酸の放散速度は時間の経過と共に減少し、その減衰挙動は既存の数学モデルである二重指数関数モデルに適合することを確認した。また、二重指数関数モデルへの回帰分析によって得られた値を用いて、各試験体の相対的な比較が可能であることがわかった。 上記の試験体を用いて実施した窒素吸着試験では、得られた吸着等温線から、どの試験体も木材表面とガスの相互作用が弱く、周囲環境などにより容易にガスの吸着離脱が行われることが示唆された。しかし、サンプリングバッグを用いて行った吸着脱離試験では、得られた値にバラツキが大きく、数学モデルに組み込む係数として利用できるまでには至らなかった。 これまでの結果から、放散速度を用いた数値解析により得られる値は、試験体とした木材から放散する酢酸やギ酸の相対的な比較に有効であり、木材の選定指標として利用できるものと考える。
|
Report
(5 results)
Research Products
(5 results)