Recent glacier change for approximate 150 years in Pasu glacier, Northern Pakistan
Project/Area Number |
19K13437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
梶山 貴弘 日本大学, 理工学部, 助教 (50772034)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 氷河変化 / 地球温暖化 / 気温変化 / 衛星画像 / GIS / フンザ川流域 / カラコラム山脈 / ドローン / 写真測量 / 河岸侵食 / 地形分類 / 高度変化 / パスー氷河 / 空中写真 / カラコラム / 氷河地形 / UAV |
Outline of Research at the Start |
本研究では、パキスタン北部に位置するカラコラム山脈北西部のパスー氷河を対象に、最近約150年間の氷河変化と気候変化の関係について明らかにすることを目的とする。研究期間は4年間であり、調査・解析においては、現地における地形・地質調査および気象観測と、日本国内における各種コンピュータ解析・岩石実験・人文的史料の分析などを実施する。これら調査・解析に基づく研究成果は、将来の地球温暖化の影響予測に貢献するものと期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化が進行している中で,パキスタン北部に位置するカラコラム山脈では,近年,氷河が拡大傾向にある。本研究では,同山脈北西部を対象として,やや長期的な時間スケールの視点から,氷河変化と気候変化の関係を明らかにすることを目的としている。2023年度はおもに,①氷河面積の変化解析,②現地における氷河地形・地質調査,③現地調査で得られたデータ解析を実施した。 2023年度の前半は,①氷河面積の変化解析を進めた。これは,2022年度から継続している解析・分析であり,同山脈北西部フンザ川流域を対象に,1990年頃・2000年頃・2010年頃・2020年頃の衛星画像を使用し,選定した30氷河の面積変化を明らかにするものである。その結果,1990-2020年の30年間では縮小する氷河の割合が高いが,10年間隔でみると1990-2000年は拡大する氷河が,2000-2010年と2010-2020年は縮小する氷河の割合がそれぞれ高く,この傾向は気温変化とも調和的であった。これは,カラコラム山脈の氷河変化が流域・山塊単位で異なっていることを示すものであった。なおこの成果は,論文として報告することが出来た。 夏季には,②現地における氷河地形・地質調査を実施した。現地調査では,当初ドローンを用いてパスー氷河およびその周辺域の氷河地形を撮影する予定であったが,現地情勢のため急遽これを断念し,氷河および周辺の地形と露頭の観察・記載を実施した。現地調査は,コロナ禍であったため2019年以来の実施となったが,リモートセンシングでは得られない知見を得ることが出来た。 後半は,③現地調査で得られたデータ解析を実施した。この解析では,2019年度の現地調査のデータから作成したオルソ空中写真やDEM等と,本年度の地形・地質の観察結果とを照らし合わせて,解析・分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020-2022年度は,新型コロナウイルス感染症の影響により現地調査が出来なかったため,当初計画から一部の研究内容を変更する必要性が生じ,当初計画に対しては遅れていることになる。しかしこの期間は,日本国内におけるPC解析を集中的に実施し,リモートセンシングデータを活用した,やや広範囲における最近の氷河面積の変化を明らかにした。その分析と取りまとめは,2023年度前半におこない,学術論文としてまとめることが出来た。 また,2023年度は2019年度以来の現地調査を実施することが出来たが,使用可能なはずであったドローンが,当局の判断により急遽使用できなくなった。そのため,ドローンによる写真測量用のデータが得られず,2023年度の写真測量の実施が延期された。しかしその一方で,パスー氷河周辺域を歩き回ることが出来,現地踏査による氷河地形・地質の観察・記載を実施して,詳細な現地データを得ることが出来た。 得られたデータについては,2019年度の現地調査データも含めて,氷河地形の分類と氷河変化の解析に利用した。この解析では,ドローンから得られた空中写真とDEMに基づく地形分類図の作成において,現地調査における地形の形態や地層・堆積物の観察結果が,不明確な地形の分類の判断に役立っている。またこれは,フンザ川右岸の河岸侵食の解析についても同様である。これら解析は途中であるが,順調に進んだ。 以上から,新型コロナウイルス感染症の影響により,当初計画を一部変更せざるを得ない状況にあり,加えて現地調査においてはトラブルがあったため,当初計画よりも遅れていることになるが,研究計画を微修正しながら実施可能な研究を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,パスー氷河の変化史について,これまでの研究成果を合わせてまとめていく。1990-2020年の変化については,衛星画像解析から時系列変化が明らかとなっている。1990年以前は,断片的ではあるが,衛星画像・文献・現地での聞き取りから明らかとなっている。次年度は,これまで明らかとなっていない年代の氷河範囲も含めて,最終的には地形分類図としてまとめる。 2024年度の夏季には,現地調査を実施する予定である。現地調査では氷河地形・地質の観察・記載と,地形分類図を作成するにあたって必要となる空中写真をドローンを用いて観測する。空中写真は,2019年度にも観測しているが,その際に不十分であった範囲を取得する予定である。また2019年度と比較するために,パスー氷河末端部とフンザ川の河岸侵食解析用の範囲も観測する。ただし2023年度のように,急遽現地でドローンが使用できなくなる可能性もあるため,その際には,氷河地形・地質の観察・記載に注力する。 現地調査前は,2023年度後半から実施している地形分類図の作成を進める。この解析を進めながら不明確な地形や空中写真の観測が不十分な範囲を洗い出し,それと同時に夏季の現地調査の具体的な調査地点や調査項目を検討していく。また,氷河変化と関連するフンザ川右岸の河岸侵食についても解析を進める。 後半は,現地調査の結果を含めて分析する。ここまでの結果から,パスー氷河周辺域の地形分類をおこない,地形分類図を作成する。これまでに明らかとなった年代の氷河範囲と,地形分類図の作成によって明らかとなった氷河範囲について,作成した分類図に落とし込み,最終的にはパスー氷河の変化史についてまとめていく。
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Report
(5 results)
Research Products
(4 results)