参加形態相互間の役割分担の再構築に向けた序論的・比較法的考察
Project/Area Number |
19K13551
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 隼 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10756589)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 民事訴訟法 / 補助参加 / 判決効 / 確認の訴え / 先決関係 / ドイツ法 / イタリア法 |
Outline of Research at the Start |
第三者が自己の権利または利益を保護するために既存の(他人間の)訴訟に関与する現象を「参加」と呼んでいるが、わが国の民訴法体系においては多様な参加形態が認められている。もっとも、個々の参加形態のカバーする範囲は必ずしも一義的には定位されておらず、それら相互の関係も十分に整理されているとはいい難い。本研究は、このような現状に鑑み、各参加形態が担うべき本質的な役割を再考するためのいわば序論的考察として、最もプリミティヴな参加形態である補助参加と他の関連する制度との関係について、母法であるドイツ法の議論を見直すとともにこの問題について一定の議論の蓄積のあるイタリア法を参照しつつ、検討するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、本研究の核となる連載論文の最終回(「補助参加制度の機能に関する一考察(五・完)」)を法学協会雑誌において公表することができた。前年度までにひととおり明らかにしてあったドイツ法・イタリア法の議論を比較検討するとともに、それらから抽出される示唆を踏まえて、日本法の従来の議論の精緻化・相対化を試み、わが国における補助参加の在り方について論じたものである。そこにおいては、補助参加の端緒として想定される「事実上の影響」の中では証明効に着目するのに一定の合理性が認められ得るとの見立てを示しつつも、そうした考え方も必ずしも盤石ではないのではないかとの認識の下、ドイツ法・イタリア法の近時の見解に共通して現れていた、補助参加と他人の法関係に関する確認の訴え(第三者確認の訴え)とを連続的に把握する発想に光を当てて、参加訴訟の訴訟物たる先決的法関係の確認あるいは補助参加による判決効の主観的範囲の拡張(による後訴の回避ないし参加人の権利保護)を重視して、補助参加(の利益)について規整する可能性を提示することとなった。他人間に係属中の訴訟で下され得る判決に起因する不利な影響を回避する点に補助参加の主要な意義を見いだしていた伝統的な方向性とは異なり、その訴訟の中で自己との関係で(も)法的な紛争解決基準を創出する点に重きを置くものであって、やや抽象論の色彩が強いことを自覚しているものの、少なくとも、わが国の議論に広がりのきっかけを提供することはできたのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度の終わり近くになったものの、核となる論文の完結という最大のタスクは達成することができた。ただ、コロナ禍の影響もあって当初予定より大幅に遅れての公表となったため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度を最終年度とする予定であったが、公表した論文を基に報告を行うなどして研究者・実務家と議論を交わす機会を設けてさらなる深化を図るとともに、そこで論じきれなかった若干の派生問題の解決の方向性について見通しを得ることに努めたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(5 results)