Project/Area Number |
19K14459
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
|
Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
荻本 快 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (00746612)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | メンタライゼーション / リフレクティブ機能 / RFQ / Epistemic Trust / メンタライゼーションに基づく治療(MBT) / BPD (境界性パーソナリティ障害) / MBTアドヒアランススケール / 国際共同研究 / 集団療法 / 内省機能 / 境界性パーソナリティ障害 / MBT / メンタライゼーションに基づく治療 / 子どものためのMBT / 質問紙 / 境界性人格障害 |
Outline of Research at the Start |
境界性パーソナリティ障害(BPD)への効果的な治療法が、内省機能(メンタライジング)に基づく治療として考案され、世界的に注目されている。内省機能とは、自己と他者の心理状態を振り返る能力のことである。内省機能を測定する質問紙であるReflective Functioning Questionnaire (RFQ)がFonagyらによって開発され多くの言語で翻訳されているが、日本語版は開発されていない。 本研究の目的はRFQの日本語版の開発および妥当性と信頼性の検討である。RFQを日本語に翻訳し、BPDを対象として、因子構造、内的整合性、構成概念妥当性を検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
境界性パーソナリティ障害(BPD)への効果的な治療法が、英国アンナフロイトセンター(AFC)の精神分析家・臨床心理学者であるピーター・フォナギー氏と精神科医であるアンソニー・ベイトマン氏によってメンタライゼーションに基づく治療Mentalization Based Treatment(MBT)として考案され、世界的に注目されている。メンタライジングとは、自己と他者の心理状態を振り返る能力のことであり、その操作的な表現がリフレクティブ機能(内省機能)である。 2022年4月、国際精神分析協会(International Psychoanalytical Association [本部:英国 ロンドン])のIPA an Humanitarian Field Committeeの委員として報告者が選出された。 2022年7月、日本語圏で初めての公認MBT実践者(MBT Practitioner)として英国アンナフロイトセンターと英国精神分析委員会(British Psychoanalytical Council)に登録された。 2022年末、公認MBT Supervisor/Tutorのスーパーヴィジョンを受けながらMBTの臨床を続けるメンバーによって、MBTの実践と訓練を続ける臨床家のための学術組織・職能団体を設立するためのディスカッションが始まった。2023年4月に日本MBT協会(https://www.jmbt.org/)が設立される。 2022年12月、東京新聞(中日新聞)が年末におこなう『私の3冊』キャンペーンにおいて、単著「哀しむことができない::社会と深層のダイナミクス」(木立の文庫)が磯前大地委員によって選書された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MBTの個人療法も集団療法も、他のセラピーとは独立した、特有の考え方に基づくサイコセラピーであり、体系的に実践や訓練がおこなわれている。リフレクティブ機能もその概念の独立性や概念発達の経緯に基づき検討される必要がある。 2022年7月、日本語圏初めての公認MBT実践者(MBT Practitioner)として、英国精神分析委員会と英国アンナフロイトセンターに登録された。国際的・国内的な動向を受けて、公認MBT Supervisor/Tutorの指導を受けながらMBTの臨床と訓練を続けているメンバーは、アドヒアランススケールを遵守し、AFCが公認するMBTの臨床と訓練を日本語圏で普及していく職能団体を設立する時期が到来したという認識で一致し、日本MBT協会の設立準備委員会が作られたのである。 【日本MBT協会の設立】(https://www.jmbt.org/)次の目的で活動をおこなう。①日本語圏におけるアンナフロイトセンターが公認するMBT(メンタライゼーションに基づく治療)の臨床と訓練の普及に貢献すること ②日本語圏におけるMBTの実践・研究を国際的に発信していくこと③AFC公認MBT資格保持者と訓練中の臨床家の権利を護ること。日本MBT協会は2023年4月に設立される。 臨床発達心理学領域や教員養成課程における精神分析やメンタライジングの考え方に基づく教育が評価され、国際精神分析協会のIPA an Humanitarian Field Committeeの委員として選出された。2023年1月以降、本委員会では人道支援領域におけるメンタライジングの意義についてディスカッションが行われている。 2022年12月東京新聞(中日新聞)が年末におこなう『私の3冊』キャンペーンにおいて、単著「哀しむことができない::社会と深層のダイナミクス」(木立の文庫)が磯前大地委員によって選書された。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度も新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療現場をフィールドにした調査研究を行うことが困難な状況が続いた。2023年度は日本語版RFQをBPDと診断された患者に対して実施する。その際には、医師を通した患者への間接的な依頼だけでなく、オンラインで質問紙を実施することも検討していく。質問紙の結果について、因子分析を行い、因子構造と内的整合性、再検査信頼性を検討する。そして日本語版RFQをToronto Alexithymia Scale等の尺度と共に実施、構成概念妥当性を検討していく。日本語版RFQの妥当性と信頼性を検討する際にはオリジナル版を作成したピーター・フォナギー氏やパトリック・ライトン氏とのディスカッションを行うと共に、国内の研究者との連携を広げていく。 アンナフロイトセンターと共同するUniversity College of Londonでおこなわれている臨床と研究のプロジェクトは、精神分析をより開かれた民主的なものへと変革させようとしている点において、革新的である。この開放性と協働性が、MBTやメンタライゼーション研究の基底にあることを付しておきたい。MBTの導入においても開放性と協働性が維持されるよう期待される。日本におけるadherence の問題について、関係者は議論の透明性を高め、異論の排除をすることなく、辛抱強く議論を続けていくことが必要であろう。 日本MBT協会(https://www.jmbt.org/)は、2023年7月に相模女子大学において日本MBT協会の第1回の学術集会が開催する(会長:今井たよか氏)。報告者は運営委員に加わっている。この学術集会にMBT Scotlandの元Chairであり公認MBT Tutor/Supervisorであるリンダ・トレリヴィング博士が参加予定である。
|