Project/Area Number |
19K15442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 29020:Thin film/surface and interfacial physical properties-related
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Research Institution | Teikyo University (2022-2023) National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (2021) Chiba University (2019-2020) |
Principal Investigator |
高橋 綾香 帝京大学, 理工学部, 講師 (90768912)
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Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 高温潤滑 / 硫化物金属 / 宇宙用潤滑剤 / トライボロジー / 格子欠陥 / 摩擦メカニズム / 宇宙用潤滑 / 低摩擦 / 耐高温 / 特殊環境摩擦試験 / 固体潤滑 / 宇宙機用材料 / 高温特性 |
Outline of Research at the Start |
申請者は次世代宇宙用としての利用を目指す固体潤滑剤の研究を行っている。当研究では、宇宙用として実績がある潤滑剤に類似した結晶構造を持ちながら、高温耐性が高い二硫化タングステン(WS2)の可能性について調査する。評価方法は特殊環境中で摩擦評価を行い、摩擦試験後の状態を複数の分析技術を用いて調べる。 構造が類似する素材を研究する利点は、従来の潤滑剤が枯渇や環境規制等で使用できなくなった際に、代替案として適しているからでる。また将来的な宇宙開発では高温領域でのミッションも増えると予想されている為、高温特性に優れていることも利点となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、地球外惑星(極環境惑星)探査計画も積極的に進められており、今までは火星等の低温環境において駆動する探査機やそれに関わる材料等の開発に重点が置かれてきたが、当研究実施中にアメリカ航空宇宙局によって、極高温環境である金星(400~500℃)への再探査計画が公表された。この計画は金星内部へ探査機を送り込み、より詳細な惑星環境を探査する事を目的としている。今までの宇宙開発における宇宙活動では、地球軌道上での真空特性に優れた固体潤滑剤であるMoS2(二硫化モリブデ ン)が主流であり研究実績も50年分の蓄積がある。しかし、今後は極高温宇宙環境性能も追求する必要があり、本研究では既存の宇宙用潤滑剤であるMoS2の研究蓄積を応用することができ、MoS2の代替案となりうるWS2(二硫化タングステン)の高温宇宙用特性評価及び開発を行っている。宇宙用としてWS2の知名度は少ないが、当研究によってWS2の優位性温度環境が400℃以上であり、MoS2より金星環境での利用に適していることを周知している。 2022年度はトライボロジーに関する国際学会で2件発表を行い、当研究の有用性や利点について説明した。また、当研究ではMoS2でも明らかにされていない潤滑メカニズムの解明にも注力しており、その結果についても現時点で明らかになった点を発表をしている。潤滑剤の低摩擦メカニズム解明にはサンプル作成が大変重要であり、最表面をWS2のみで仕上げて摩擦特性試験を実施し、分析を行う必要があるが、最表面をWS2のみで成膜可能なコーティング技術を応用しサンプル作成を行い、そのサンプルを独自に作成した高真空高温摩擦試験機で評価し分析を行っている。同試験機は真空中サンプルを昇温させる機構について調整中であったが、高真空高温時の摩擦試験をテスト運転を実施し正しいデータが取得できることを確認出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナにより、予定期間に実施できなかった試験等の調整を一から行っている。当時実施できたことが、数年経過することで実施できないケースもあり、代替手法を探しながら行っているため、やや遅れていると判断した。コロナにより、予定期間に実施できなかった試験等の調整を一から行っている。当時実施できたことが、数年経過することで実施できないケースや試験条件を統一する為に、同一ロットの供試体を入手予定であったが、取り扱い終了や材料コストの変動等による理由によって、代替案の検討しながら行っている。また為替変動により当初予定していた国際学会での発表に、想定以上の費用を要したため、成果の発表手法を変更する等のスケジュール調整も必要なため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
調整開発中であった高温真空摩擦試験機を試験運行しており、目標真空度に到達可能であることが確認できているが、複数回使用する中で真空度が二桁程度低い場合が度々発生し、目標到達までに10倍以上時間がかかる場合があることが確認されている。装置立上げ手順段階で装置の稼働条件が一律になるよう原因を調べている。これを解決することで、高真空摩擦試験を効率的に大学内で実施するという目的に到達することができる。また、高真空時に供試体を400℃以上の高温に暴露しそれを維持するための調整も行っており、真空度が維持できたときに、試験的に高真空中高温摩擦試験を行っている。今後安定的に試験データを取ることを目標とし、大学内での試験調整と並行して、真空以外の模擬宇宙環境暴露試験を行ったサンプルの実験も進めている。 供試体の成膜については潤滑成分のみの成膜に成功し、摩擦特性データを蓄積しており、摩耗部と非摩耗部における表面分析を行い潤滑としての表面状態を記録している。非摩耗部においては成膜直後の特性とし、摩耗部は駆動時に接触駆動が起きた際の低摩擦係数滑り現象を示すメカニズムが記録されていると考え、成膜時点で既に低摩擦係数状態が生成されているか、摩擦によって形成されているかを分析している。両者の状態に相違点が見られる場合、成膜状態から低摩擦係数を示す機能性状態に移行する過程を捉えることができ、宇宙機用として実使用時において運用中の状態を結晶レベルで把握することに繋がり、寿命に至るまでの経過を予測するための情報も得られると見込んでいる。これらの常温高真空摩擦試験データ解析を進め、さらに同一サンプルにおいて高温高真空および室温での摩擦試験データを取得し比較することで、使用環境における潤滑メカニズムとの関連性をより理解することが可能で、実験的な情報を以って結晶レベルで解明していくことを目指す。
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