Project/Area Number |
19K15667
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 勇太 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60774081)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | X線CT / 固体Liイオン伝導体 / リチウム析出 / 全固体リチウムイオン電池 / 固体電解質 / リチウム析出現象 / 界面制御 |
Outline of Research at the Start |
電解質に固体電解質を用いた二次電池である全固体リチウムイオン電池においても、負極にリチウム金属を用いると、通電時に粒界にリチウムが析出し、正極に達して短絡が生じる。これは、全固体リチウムイオン電池の実現・普及を目指す上で致命的な問題である。しかしながら、その発生メカニズムは「いつどのような条件で、リチウム析出が生じるのか?」といった具体的な予測を行えるほどには理解されていない。本研究では、微細加工技術を用いて解析が容易な表面形状を固体電解質に導入し、発生したリチウム析出をアコースティックエミッションを用いて局所的に観測することで、現象の本質を解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、全固体リチウムイオン電池の固体電解質におけるリチウム析出が、どのような条件で発生するかを実験的に精密に検討し、さらに理論的に説明できるモデルを構築することを目的としている。先行研究により、リチウム析出は、1.リチウム金属/固体電解質界面の、電流密度が高い領域を起点として生じ、さらに2.析出したリチウムが粒界を引きはがし、粒界を伝って成長していくことが明らかにされている。したがって、全固体リチウムイオン電池の固体電解質におけるリチウム析出を理解するためには、上記1および2の挙動を理解する必要がある。上記2を理解するためには、固体電解質中にどのような粒界のパスが存在するか、またリチウムがどの粒界のパスを通って析出し、短絡を引き起こすかを理解することが重要であると考えられる。この点について理解を深めるためには、非破壊で、固体電解質試料内部の構造およびリチウム析出挙動をオペランドで観察することが必要となる。そのような測定を行う上で、X線CTは強力な観察手法であると言える。そこで一年目は、X線CTを用いて、固体電解質試料の観察を行った。X線CTによる固体電解質試料の観察はSPring-8のBL37XUにおいて実施した。固体電解質試料としては、X線透過率の高いLi2.2C0.8B0.2O3(LCBO)を選択した。その結果、X線CTにより数百マイクロメートル~数ミリメートル四方の広い領域の観察を行えることが明らかになった。しかしながら、LCBOはX線透過率が高いため、固体電解質内の空隙を識別することが困難であった。そのため今後は、よりX線透過率が低いLISICON系固体電解質材料や、ガーネット系固体電解質材料を対象に測定を行なっていく予定である。また短絡試験中にX線CT測定を行える測定系を開発し、リチウム析出挙動のオペランド観察を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
固体電解質中にどのような粒界のパスが存在するか、またリチウムがどの粒界のパスを通って析出し、短絡を引き起こすかを理解することを目的に、X線CTを用いて、固体電解質試料の観察を行った。測定試料としては、X線透過率の高いLi2.2C0.8B0.2O3(LCBO)を選択し、SPring-8のBL37XUにおいてX線CT測定を行なった。その結果、X線CTにより比較的大きな領域(数百マイクロメートル~数ミリメートル四方)の観察を行えることが明らかになったものの、LCBOのX線透過率が高いために固体電解質内の空隙を識別することが困難であった。そのため今後は、よりX線透過率が低いLISICON系固体電解質材料や、ガーネット系固体電解質材料を対象に測定を行なっていく予定である。これらの試料では、X線透過率の差から空隙と固体電解質の区別が可能であると考えられるが、その一方で、観察可能な領域がLCBOに比べて小さくなることが予想される。そのため、より微小な固体電解質試料を加工し、測定に供する予定である。またこれらの微小な試料を対象とした短絡試験中にX線CT測定を行える測定系を開発し、リチウム析出挙動のオペランド観察を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、固体電解質中のどのような粒界パスを通ってリチウムが析出し、短絡を引き起こすかを理解することを目的に、短絡試験中にX線CT測定を行える測定系を開発し、リチウム析出挙動のオペランド観察を行う予定である。固体電解質試料としては、LISICON系、あるいはガーネット系材料を対象とする。さらに、本測定にアコースティックエミッション測定を組み合わせることで、リチウム析出挙動をより詳細に理解する。また、電極/電解質界面形状がリチウム析出にどのような影響を与えるかを理解することを目的に、界面形状を制御した試料で測定を行う。
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