Project/Area Number |
19K21670
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
野口 靖 東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (50287869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎野 若菜 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (20431968)
井本 佐保里 日本大学, 理工学部, 助教 (40514609)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 文化/社会人類学 / 映像人類学 / データ可視化 / デジタルアーカイブ / ライフヒストリー / ケニア / ナイロビ / スラム / 社会人類学 / 映像民族誌 / 建築 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ケニア・ナイロビのスラムにおいて、人々がどのような生を営んでいるのかというアートおよび社会人類学的な視点と、居住環境改善という建築学的な視点を交差させ、地域に住まう人々の行動や生活環境の変化と工夫の通時的状況を明らかにする。さらに、その研究成果として等身大のスラムの変化および現状を広く伝える手段として、ヴァーチュアル・リアリティ(仮想現実)などのメディアアート的手法を積極的に取り入れたデジタル映像アーカイブを構築する。 本研究はメディアアート、社会人類学、建築学の専門家による領域横断的な協業により、新たな研究および表現手法を確立する挑戦的プロジェクトである。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年は、研究資料としてだけではない、観せる映像による映像人類学や民族誌映画が盛んだが、当該分野における映像の使われ方は、映画や映像の空間展示(ビデオインスタレーション)が主流である。しかし、民族誌映像はメディアアートの手法を導入することによって、より直感的な映像体験となり、調査対象者との共有及び人々への還元が円滑になる可能性がある。また、一般的にスラムを調査地とした場合、衛生問題、インフラの整備状況、居住権という、居住環境改善の視点で語られることが多いが、スラムにおける等身大の人々の生活実践を読み解くには、アートや人類学と建築学の複合的な視点が必要である。2019年度は次の2点に焦点を絞って研究を進めた。1. スラム住民のライフ・ヒストリーの民族誌映像制作。2. スラムの居住環境を記述するデジタル映像アーカイブ。 1. スラム住民のライフ・ヒストリーの民族誌映像 アートの視点によるスラム住民の個々のライフ・ヒストリーに焦点を絞り、民族、親族関係、生活様式などに加え、感情や思想など、個々の人生にまで迫る民族誌映像作成を行った。 野口と椎野はすでにカワンガレで予備調査を行なっており、さらに、比較文化の観点から他地域でも調査を行った。今回は移動歴の多い住民Aにインタビューを行った。 2. スラムの居住環境を記述するデジタル映像アーカイブ 今回は、ナイロビのキベラとカンゲミにおいて、計6名の住宅の360度全天球パノラマ写真の撮影及び、住民へ日頃の暮らしぶりについてインタビューを行った。また、メディアアート 展示の準備段階として、既に開発済みの時空間マップソフト(特願2008‐192562)のバージョンアップを行い、最新のシステムで稼働するようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは初年度ということもあり、ナイロビのスラム住民で信頼のおける優秀な助手との関係構築から始めた。幸運にも優秀な助手が見つかったため、調査研究が非常にやりやすくなったので、残りの2年間の研究の見通しが立った。まずはキベラの住宅を訪問し、次に助手の居住地であるカンゲミを訪問し、合計6戸の住宅の部屋の撮影と個々の住民の生い立ちなどをインタビューした。 そのうち数箇所かはかなり個性的でインタビュー対象者の生業とも密接な関係がある部屋だったので、本調査がスラムにおける居住空間利用の実態を、人類学および建築学の視点により把握する基礎資料となることを実感した。この作業は様々なケースを収集することが必要だと思われるので、引き続き2、3年目も住宅内空間の撮影及びインタビューを継続していく。 スラム住民のライフ・ヒストリーの民族誌映像は、助手の紹介でカンゲミの住民に自身の移動の歴史について語っていただき、本人を取り巻く互助の関係を可視化しようと試みた。しかし、比較的若かったためこちらが期待したほどの移動の歴史はなかった。ライフヒストリーの民族誌映像も同じ対象者に繰り返しインタビューをおこなって掘り下げるか、新しい対象者を探す必要があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
「スラムの居住環境を記述するデジタル映像アーカイブ」は2年目以降も対象者を増やしながら継続する。「スラム住民のライフ・ヒストリーの民族誌映像」は、対象者の選定が非常に重要な要素になるので、引き続き対象者を増やしつつ、その中から掘り下げてインタビューする対象者を選定する。 また、最終年度のメディアアート展示を見据えて、時空間マップにデータを入力していく、2年目を目処にして時空間マップを使ったケニアの歴史と住民の移動史を完成させる予定。 なお、井本の研究である「ケニア・ナイロビスラムのノンフォーマルスクール調査」では、ムクルで実際にノンフォーマルスクールを建設し、その後の利用状態や地域社会との関係性について分析を行っている。この成果を本研究と融合させ、スクールに通う児童や親、経営者に対してインタビューをおこない、彼らの生活環境や教育環境を可視化する予定である。 また、既に開発済みの時空間マップソフトは今回バージョンアップを行なったが、webメディアに全ての機能を搭載しようとすると開発時間が膨大になるので、webアプリケーションにする場合にはある程度機能を限定する必要があるということが判明した。
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