Project/Area Number |
19K21679
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 5:Law and related fields
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西村 智朗 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70283512)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 科学的知見 / 気候変動 / 生物多様性 / 遺伝資源 / 気候工学 / デジタル配列情報 / 国際法 / 予防原則 / 多数国間環境協定 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、気候変動条約および生物多様性条約を素材とし、両条約およびその下で採択された多数国間環境協定の中で新たな科学的知見が、どのように受容され、法制度の構築および改善のために活用されうるかについて検討する。 より具体的には、遺伝資源へのアクセスと利益配分に関するデジタル配列情報の問題と、気候変動に対処する気候工学を素材として、文献研究や自然科学者へのヒアリングを通して研究を進めることにより、2つの枠組条約および条約に基づいて作成された議定書や協定の中での科学的知見への対応と自然科学の役割を論証する。 その作業を通じて、科学的知見が国際環境法の形成と実施上の展開に与える影響を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、気候工学(geoengineering)をはじめとする気候変動の緩和に関する技術が気候変動条約制度(特にパリ協定)に及ぼす影響についての検討をおこなう予定だった。しかしながら、2020年に延期された気候変動枠組条約第26回締約国会議(英国、グラスゴー)は開催されたものの、新型コロナウイルス感染症パンデミックにより、海外渡航が制限されたため、参加することができず、十分な分析をおこなうことができなかった。 また、生物多様性条約の下で採択された名古屋議定書におけるデジタル配列情報の位置づけについて、生物多様性条約第15回締約国会議(中国、昆明)に参加して情報収集をおこなうことを計画していた。同会議は、2020年は延期され、全体会合は2021年度と2022年度に分割しておこなわれることになった。前半会議の参加を検討したが、前述と同じく海外渡航の制限のため参加することができず、また締約国間の議論も十分とは言えず、会議の成果も達成できたとは言えない状況であった。 このような状況のため、両会議の参加者にヒアリングをおこない、また各国政府や環境NGOの会議に対する評価などを収集して、分析の準備をおこなった。 その他に、これまでの締約国会議の決定を整理し、文献による学説を検討することで、気候変動条約および生物多様性条約制度の義務履行の遵守に関する現状と課題を検討した。特に気候変動問題については、気候変動条約、京都議定書およびパリ協定からなる条約制度の全体像についての整理をおこなった。また過去の国際環境問題の判例研究をおこない、特に一般国際法(防止原則)と国際環境法の基本原則(予防原則)の関係性についての再検討をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大によって、予定していた多数国間環境協定の締約国会議に参加することができず、また国内出張(研究会の開催やヒアリング)も実施することができなかった。その結果、締約国会議の科学技術に関する補助機関の活動についての情報収集を行うことができなかった。特に2021年は、締約国会議自体は、完全な形ではない中で開催されたが、所属機関の外国渡航基準により、参加をキャンセルせざるを得なかった。 気候変動条約制度においては、気候工学に関しては、多数国間環境協定(気候変動条約/パリ協定とロンドン海洋投棄条約および生物多様性条約)で評価が異なっており、科学的知見がどのように評価されているかについての現状分析を環境条約の実務の観点から分析し、知見を共有する機会を得たかったが、それがかなわなかった。 生物多様性条約制度においては、名古屋議定書のデジタル配列情報について、締約国間の対立が激しく、合意形成が困難な状況である。すでに結論を出す予定の会期を過ぎているが、コロナ禍による影響をどこまで加味して期限を延長するのかについて状況を確認する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の状況に留意しつつ、気候変動条約および生物多様性条約の締約国会議の参加の可能性を引き続き検討する。外務省の感染症危険情報のレベルが下がったことにより、所属機関の外国渡航基準も従前より緩和された。したがって、感染症対策を十分に取りつつ、両条約の締約国会議の参加登録を行い、2020年度および2021年度に実現できなかった作業を効率よく実施したい。 ただし、締約国会議自体が感染症対策により完全な状態で行われない可能性が高いことから、両条約事務局からの情報に留意して、必要であれば、他の研究者や会議参加者の研究協力を仰ぎつつ、柔軟に対応できる準備をしておく。 また、研究代表者が所属機関の行政職を担うことになったため、外国出張を含む研究計画の遂行に制約が生じることになった。これについては、所属機関と相談し、協力を仰ぎながら予定通りの研究の実施を図る。ただし、遂行が困難であると判断される場合は、他の研究者の助言や文献研究を加えながら研究計画の修正を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)