Project/Area Number |
19K21724
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 8:Sociology and related fields
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Research Institution | Fukuoka Dental College (2020) Kyushu University (2019) |
Principal Investigator |
樗木 晶子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 客員教授 (60216497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
錦谷 まりこ 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 准教授 (40327333)
城戸 瑞穂 佐賀大学, 医学部, 教授 (60253457)
中島 直樹 九州大学, 大学病院, 教授 (60325529)
守屋 普久子 久留米大学, 医学部, 講師 (80449917)
武冨 貴久子 札幌市立大学, 看護学部, 講師 (80543412)
伊豆倉 理江子 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (80805292)
藤野 ユリ子 福岡女学院看護大学, 看護学部, 教授 (90320366)
永吉 絹子 九州大学, 大学病院, 助教 (90761015)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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Keywords | 女性医療職者 / キャリア継続 / 労働衛生的視点 / 高度専門職 / 縦断調査 |
Outline of Research at the Start |
研究協力施設の約1000人の男女医療職の労働環境に対する意識を調査し,医療職者が就業継続しやすい労働条件を明確にする.10年前に施行した九州大学,佐賀大学,福岡大学の医療職者600人の調査結果と今回の結果から縦断的分析も行い,医療職のキャリア継続要因を明確にする.医療現場の働き方は一般企業と異なり評価対象となりにくく,評価ゴール(企業:利益追求)も設定できにくいため,今回の10年に及ぶ経時的調査は挑戦的な試みとなる.離職・流動化しやすい女性が,高度専門資格を活用して就業を継続できる要因を探索し明確にすることは少子超高齢社会が進む我国の様々な職場における働き方を考えていく上で意義があり応用可能である.
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Outline of Annual Research Achievements |
これまで医療現場では患者の人命を救うために医師・看護師などの高度医療専門職者の長時間労働による心身への影響や女性医師のキャリアの中断などに関してあまり考慮されてこなかった。医療現場で働く人々の健康や職場環境に関する労働衛生的視点からの分析は少ない。申請者は2007年度文部科学省大学改革等推進事業に採択され「社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム」において九州大学、福岡大学、佐賀大学において医療人の生きがいや健康意識を調査し報告している。そこで本研究では10年を経て男女医療職の労働環境に対する意識を調査し、高度専門職者が就業継続しやすい労働条件を明らかにするための縦断的分析も行う。九州大学、福岡大学、佐賀大学、久留米大学、産業医科大学に勤務する合計1000人の男女の医師・歯科医師、その他の医療職(看護師,薬剤師,検査技師,理学療法士等)も調査対象とする。 調査項目としては基本項目(職種,専門,教育歴,勤続,年齢,性別,婚姻・世帯状況,雇用形態等),職場環境の情報(勤務時間,職業性ストレス簡易調査票),健康情報(精神健康調査General Health Questionnaire: GHQ,主観的健康,生活習慣)を含んだ調査票を用いる。データ収集方法は紙媒体及びオンライン・データ集積管理システム(Research Electronic Data Capture:REDCap)の両方を用いて実施する。収集されたデータは研究代表者の所属施設(福岡看護大学樗木研究室)内に設置したサーバーに集約され厳重に管理する。多施設共同研究であり、各施設での倫理委員会での承認を経て,2019年度中にアンケート調査を施行し、2020年度にはこの結果を用いてエビデンスに基づいた医療職のキャリア継続要因を明らかにし広く公表すると共に論文化によって学術的にも価値のあるものとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では2020年度末までに最終調査票を完成し、全ての施設で調査を完了後、結果報告している予定であったが、2019年12月末に発生した新型コロナウイルス感染症パンデミックのために、2020年3月までに各施設で調査完了であったアンケート調査ができなくなった。新型コロナウイルス感染拡大予防に奔走する医師、看護師、全医療人に対する調査票配布は困難な状況が続き、各施設での調査が可能な状況となるまで待たざるをえなくなった。また、学生も自宅学習やウエブ学習となり医療職者も日常の勤務体制と異なる在宅勤務などが開始され、大きく職場環境が変化した。このような状況が平常に戻らない限り、10年前に調査した医療人の健康度調査との労働環境が大きく異なり、比較が難しいと判断した。佐賀大学病院でのみ新型コロナウイルス感染症第一波が治まった3月末の時点で調査(配布1242人)を行う事ができた。この調査結果は10年前の状況と比べることは、コロナ禍という非日常の環境であるために難しいが、コロナ禍における医療人の働き方や健康度の調査として貴重なデータとなると考えられた。その後、新型コロナウイルス感染症第一波がやや治まった2020年6月に、九州大学病院(配布2313人)、福岡大学病院(配布1000人)、久留米大学病院(配布1150人)では調査を行うことができた。クラスターの発生した産業医科大学病院では6月には調査できず、遅れて2020年11月に配布完了(配布1417人) し、全調査票約7000部の配布が終了した。約3100部の回答があり、すみやかに調査票回収(Webアンケートはオンライン・データ集積管理システムに収集)、データ入力、クリーニング、集計を行ったところである。この為、予定期間内にデータの解析ができなかった。本研究の遅れは新型コロナウイルス感染症の勃発という不可抗力が大きく影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
福岡・佐賀の5大学病院を対象に、これからの医療職者の健康やワークライフバランスを維持するための問題点や現状を調査すべく初年度(2019年度)は、ほぼ予定どおりに準備を進めてきたが、2019年12月末から出現した新型コロナウイルス感染症拡大のために調査票配布を延期せざるを得ない状況となり、初年度内に終了する予定であった調査票配布が次年度(2020年度)後半以降にずれこむことになった。2020年11月に全ての調査票の配布が終了し、その後、データ入力、クリーニング、集計を行い、2021年3月には各施設への粗集計の最終報告を終えたところである。未だに、新型コロナウイルス感染拡大は治まっておらず1年間研究期間を繰り越し、2021年度末終了をめざし、研究計画を変更して現在、遅れを取り戻すべく研究を推進している。今後、データの解析を行い、性差、職種や施設、部署ごとに集計し、2010年に施行した文部科学省「社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム」における調査と今回の結果の比較や、異性間、職種間、専門(診療科)間の職場環境、健康指標、生活状況の単純比較を行うことで問題点を明確化する予定である。さらに年齢、婚姻等の生活背景など交絡要因を調整して多変量解析を行い各種要因(労働時間、研修・待機等の拘束時間、業務上の圧力・業務量と範囲、仕事の報酬、周囲のサポート等)と労働衛生上のより良いアウトカム指標(勤務の継続期間、生活および職場由来のストレス、努力-報酬バランス、健康状態等)との関連を探索する。組織や部署、職種といった複数の階層グループが存在するため、最終的にはマルチレベルモデルの多変量解析を行うことで医療者のキャリア継続に重要な要因を明らかにしていく。2021年度中に多角的なデータ解析や今後の詳細な解析を行うための方針を打ち出すことを目指す。
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