多価陽イオン伝導性一軸配向多結晶体の材料設計と開発
Project/Area Number |
19K22051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 功一郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90189944)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | イオン伝導体 / 結晶配向 / イオン伝導 / 結晶配向セラミックス |
Outline of Research at the Start |
結晶中に存在する多価陽イオンは、周囲に存在する陰イオンとの静電的相互作用が強く、固体中を伝導することは一般に極めて困難である。さらに多価陽イオンの伝導性に優れる化合物は、高温下での構造安定性に乏しい傾向にある。今回、異方性の強い結晶構造中に存在する多価陽イオンは、ある特定の結晶学的な一次元方向であれば、骨格構造を安定に保ちつつ、その方向に比較的容易に伝導し得るのではないかと考えた。本研究では、多価陽イオンが一次元的に伝導可能な結晶構造型の候補を見出し、さらにその化合物の結晶粒子を応募者が確立した最新の粒子配向手法を用いて一軸配向化し、高イオン伝導性配向多結晶体の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度に実施した研究で、多価陽イオンが高速伝導する無機化合物群を1グループ発見した。そのイオン伝導度は過去に報告された同じ種類の多価陽イオンと比較して、約2倍であったことから、極めて有望な材料であると考える。イオン伝導度は周波数を4Hz~5MHzの範囲で、温度を400℃~650℃までの50℃刻みで、交流インピーダンス測定により決定した。測定データのナイキストプロットに対して等価回路を作成し、各温度におけるバルク抵抗値Rb(Ω)を求めた。さらにこれらの値をもとに、各温度におけるバルクイオン伝導度σb(Scm-1)を求めた。また、イオン伝導種の特定と輸率の測定を行った結果、多価陽イオン伝導体としての特性を明確にすることができた。前者のイオン伝導種の特定は、当該焼結体を電気分解した後、電極と接していた試料表面に析出した物質を走査型電子顕微鏡とX線分光器を用いて同定することで特定した。今回発見した多価陽イオン伝導体は、令和元年度に発見した2種類の伝導体とともに、一次元イオン伝導経路を有する。そのため、ランダム配向多結晶体では高いイオン伝導度は期待できない。イオン伝導方向に沿った結晶配向多結晶体を作製する必要があるため、一次元イオン伝導体の代表的な化合物としてケイ酸ランタンアパタイトの配向多結晶体の作製実験を行い、結晶配向技術の獲得とイオン伝導度のさらなる向上を目指した。テンプレートとして板状結晶を用い、テンプレート粒成長法で当該一軸配向多結晶体の作製に成功し、イオン伝導度の向上を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来報告されていた陽イオン伝導性の化合物とは全く異なる化学組成・結晶構造の新規化合物群を、1種類発見したこと。さらに、テンプレート粒成長法を用いてケイ酸ランタンアパタイトの配向多結晶体を作製して、イオン伝導度の向上を確認することができた。令和2年度の研究計画を十分に達成していることから、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
多価陽イオンが高速伝導する無機化合物群の発見を目的として材料探索を行う。さらに、発見した多価陽イオン伝導体のイオン伝導種の特定と輸率の測定を行い、イオン伝導体としての特性を解明する。多価陽イオン伝導体のテンプレート粒子を準備し、令和2年度に確立した手法(テンプレート粒成長法)を用いて配向多結晶体の作製を行い、結晶構造と化学組成、微細組織を最適化することで、イオン伝導度のさらなる向上を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)