発電する窓ガラス:ナノ粒子塗布による完全透明p-n接合デバイスのオンデマンド製造
Project/Area Number |
19K22096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 28:Nano/micro science and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蟹江 澄志 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60302767)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | ナノ粒子 / 透明導電性酸化物 / p-型半導体 / 液相合成 / p-n接合 / 透明デバイス / ナノインク / 透明導電性金属酸化物 / p-n 接合 |
Outline of Research at the Start |
透明導電性金属酸化物(TCO)は,可視光領域での透明性と導電性を併せ持つ材料である.その製造法として近年,インク塗布法が注目されている.しかしながら,その開発の中心はn-型TCOである.一方,p-n接合を鍵とする熱電変換材料や太陽電池分野において,p-型TCOに注目が集まりつつある.そこで本研究は,世界に先駆けてp-型TCOナノ粒子の厳密サイズ・形態制御液相合成法を開拓し,低抵抗かつ高透明性を両立するp-型TCOナノインクを調製する.また,代表者の高品位n-型TCOナノインクと組み合わせることにより,インク塗布プロセスにおいて透明導電性p-n 接合型の“発電する窓ガラス”を試作する.
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Outline of Annual Research Achievements |
薄型テレビ,パソコン,モバイル機器や太陽電池に欠かすことのできない透明導電性金属酸化物 (TCO) 電極には,スパッタ製膜法による ITO 薄膜が使用されている.ITOは,電子がキャリアとなる n-型半導体である.一方で近年,ホールがキャリアとなる p-型の TCO に注目が集まりつつある.その理由としては,p-型TCO のバンドギャップが n-型のものに比べて広く,有機薄膜太陽電池等への応用に適することや,透明 p-n 接合の実現に伴う完全透明電子デバイスの実現に繋がる事が挙げられる.しかしながら現状では,透明かつ p-型特性を示す材料は極めて限られている.特に,現在報告されているものは,いずれも有効質量がn-型 TCO に比べて高いことから,移動度が低く,低抵抗化が比較的困難であると理解できる.そこで本研究では,世界に先駆けて p-型 TCO ナノ粒子の厳密サイズ・形態制御液相合成法を開発し,低抵抗かつ高透明性を両立する p-型 TCO ナノインクを調製する.さらには,n-型 TCO ナノインクとの組み合わせ,p-n接合型完全透明デバイス,すなわち発電する窓ガラスを開発することを目的としている. なかでも本年度は,昨年度に引き続き,1.GaCuO2 系ナノ粒子のサイズ・形態制御液相合成法開発とインク化および2.ジルコン酸およびチタン酸塩系ナノ粒子を用いた p-型ナノインク開発 に精力的に取り組んだ.その結果,チタン酸系ナノ粒子の合成においても,様々な遷移金属元素のドープが可能であることが明らかとなり,本研究の目標に向け,多くの知見を得ることができた.また,n-型TCOについても性能向上に取り組み,実用的な性能を示すナノ材料を開発することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,1.GaCuO2 系ナノ粒子のサイズ・形態制御液相合成法開発とインク化および 2.ジルコン酸およびチタン酸塩系ナノ粒子を用いた p-型ナノインク開発,3.p-, n-型 TCO ナノインク併用によるデバイス適用性探索,4.カチオンドープ最適化による抵抗値10-2 Ωcm 台 p-型ナノインク開発,5.p-n 接合型完全透明デバイスとしての発電する窓ガラスの試作・実証と課題の明確化の5つについて研究開発を行う計画である.実績欄にも示したとおり,1および2については概ね当初の計画通りの成果が得られている.さらに,n型TCOについても,従来のナノ粒子に比べて格段に性能が向上することを見出した.これらの成果を元に,来年度は主にデバイスへの適用および特性向上を目標とすべく実験を計画していることから,おおむね順調に推移していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗に記したとおり,研究開発の実施により,透明p-n接合形成の鍵となる粒子群については目処が立ちつつある.一方,本研究と並行して遂行していたn-型TCOの開発についても,極めて良好な特性を示す粒子群・インクの開発に成功していることから,これらを用いたデバイスの試作は順調に行えるものと判断している.一方で,新型コロナウイルスの影響を受け,十分な情報収集を行うことが困難な状況にある.オンラインを活用した情報収集・成果公開など,積極的に展開していくことにより,あらたなスタイルとして研究を推進していく予定である.
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)