3次元1分子計測法による核膜孔通過の交通ルールの解明
Project/Area Number |
19K22520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 48:Biomedical structure and function and related fields
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
毛利 一成 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (00567513)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 細胞内1分子計測 / 蛍光相関分光法 / ERK / 細胞内分子の交通ルール / 3次元1分子計測 / 核膜孔 / ERKシグナル伝達 |
Outline of Research at the Start |
既存の共焦点顕微鏡に新規画像解析法を適用し高精度の多点FCSを実現し、全反射顕微鏡により核付近のような細胞深部での1msの高速1分子計測・超解像イメージングの実現に至った。これら独創的な装置を用いて、ERKシグナル伝達の律速段階である核膜孔通過のキネティクスを解明し、さらにセミインタクト細胞による核膜孔個別の履歴現象の直接観察を目指すことで、核膜孔通過の交通ルール解明のための基盤技術を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は細胞運命決定における確率性の存在が、ERK核移行におけるアナログ・デジタル変換機構に由来する可能性を見出しており、ERKは細胞質内から核膜に到達し、しばらく滞在したのち核膜孔にたどり着いて核質内へと移行すると予想された。我々は細胞深部の核膜においても1分子計測が可能な顕微鏡を構成することで、実際にERKが核膜孔を通過するまでに核膜上に100ミリ秒程度滞在する様子を観察することに成功した。この予備データに基づきERK核膜孔通過の分子メカニズムを解明することを目的としている。本年度はERKの変異体を複数作成し、その核移行速度や生細胞による局在の変化を顕微鏡により観察し、メカニズム解明のための予備的な実験を行った。さらに、最近になりGFP表面を疎水性残基に変更することで核膜孔通過速度が速くなることが明らかとなったため、蛍光タンパクの影響で本来対象とするERKの核移行も影響を受けることが予想された。この点を改善すべくClick反応により任意アミノ酸部位を色素標識する技術を取り入れ、実際に目的タンパクの任意部位を標識することに成功した。以上の知見を定量的に明らかにするため共焦点画像を用いた蛍光相関分光法(RICS)を改良することで、新規蛍光相関分光法(FCS)を開発し、細胞内外の分子濃度の定量的推定に成功し、ERKの濃度推定に適用している。これまでの全反射顕微鏡による計測に加え上記FCS法をさらに改良することで、共焦点顕微鏡での1分子計測が実現した。これを用いることでFLIMによる分子間相互作用の計測やSTEDといった超解像顕微鏡との共存も実現し、ERK核移行のメカニズム解明のための種々ツールを開発している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は細胞深部の核膜においても1分子計測が可能な顕微鏡を構成することで、実際にERKが核膜孔を通過するまでに核膜上に100ミリ秒程度滞在する様子を観察することに成功している。最近になってGFP表面のアミノ酸残基の疎水性が増すことで核移行速度が速くなることが明らかにされたが、これがERKなど他のタンパクにとっても普遍的であるかをいくつかの変異体を作成して検証した。これによりERKでは単純な疎水性残基への変更で移行速度や局在は制御されておらず、基質結合部位やDNA結合部位のほか機能未解明の表面チャージ部位などがシグナル伝達を介した核移行には重要であることが明らかとなり、分子間相互作用の精密な制御により成り立つことが示唆された。さらにERKの下流基質リン酸化を阻害する試薬を用いて核移行を観察したところ、基質リン酸化により核移行が促進されることと、ERK変異体では基質リン酸化が起こっても核移行が促進されないことが分かり、基質リン酸化と分子間相互作用の両方が核移行にとって重要であることがわかった。このような実験において蛍光タンパクの影響で本来対象とするERKの核移行も影響を受けることが予想された。この点を改善すべくタンパク質の任意アミノ酸部位に非天然アミノ酸を導入することで、Click反応によりターゲットの非天然アミノ酸を色素標識する技術を取り入れ、実際に目的タンパクの任意部位を標識することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ERKの基質リン酸化能が核移行に影響することが示唆されたため、これを定量的に明らかにする。このためにこれまでの研究で構築した新規蛍光相関分光法(FCS)により細胞質と核質の分子濃度を定量的に推定する。これとFRAPを組み合わせることで、リン酸化刺激前後での様々なERK変異体における核移行速度を比較する。さらに核質の分子間相互作用の影響を明らかにするため、精製したERKタンパク質を用いて、セミインタクト細胞での核移行を定量化する。このとき蛍光タンパクではなく、Click反応でERKのアミノ酸を色素標識することで、蛍光タンパクの核移行に対する影響を排する。さらにこれまでに構築してきた全反射顕微鏡や共焦点顕微鏡で1分子計測を行うことにより、ERKの核膜孔通過の素過程を観察し核膜孔前後のどこでERKが滞在するのか?ERKの変異体によりその性質がどのように変化するのかを明らかにする。ERKの核質への集積は見かけの濃度勾配を上ることを意味しており、その実現には核膜孔前後の分子間相互作用が必須である。これがERKの基質として知られる核膜孔タンパクへの結合で起こるのか、近年しられてきたDNA部位への結合で起こるのか、それともそれ以外の要因によるのかを明らかにし、ERK核移行の交通ルールを解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Phase separation organizes the site of autophagosome formation2020
Author(s)
Fujioka Y., Alam J. M., Noshiro D., Mouri K., Ando T., Okada Y., May A. I., Knorr R. L., Suzuki K., Ohsumi Y., Noda N. N.
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Journal Title
NATURE
Volume: 578
Pages: 301-305
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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