腫瘍血管特異的な放射線治療による新たながん兵糧攻め療法の開発
Project/Area Number |
19K22549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 50:Oncology and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 成史 東北大学, 医学系研究科, 講師 (50624912)
高野 真由美 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60806298)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 腫瘍血管 / 血管新生 / 血管新生阻害療法 / 放射線治療 / ナノ粒子 / CT / イメージング |
Outline of Research at the Start |
がんの増殖が血管新生をともう事実に基づき、血管成長因子の阻害により腫瘍を兵糧攻めにする治療法(血管新生阻害療法)の概念が1971年に提案された。その後、血管内皮増殖因子の1つであるVEGFに対する抗体医薬ベバシズマブが開発されたものの、その効果は限定的であり、概念の提唱から50年近く経った現在も、血管新生阻害療法は期待されたほどの効果を示していない。本研究では、ベバシズマブと放射線治療の併用療法を開発し、腫瘍血管への影響を「形態」、「血流」、「機能」の各々の面から正確に評価することにより、広範ながん治療への展開可能な血管新生阻害療法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
Folkmanらは、がんの増殖が血管新生をともなう事実に基づき、血管成長因子の阻害により腫瘍を兵糧攻めにする治療法(血管新生阻害療法)の概念を提案した。その後、血管内皮増殖因子(VEGF)に対する抗体医薬(ベバシズマブ:ヒト化VEGF抗体)が開発され(2004年米国承認、2007年国内承認)が開発され、様々ながんへの治療応用が始まった。しかし、ベバシズマブ単剤で効果(無増悪生存期間や生存期間)を発揮するのは悪性神経膠腫、卵巣がんのみであり、非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)、大腸がん、乳がんでは他の抗がん剤との併用でのみで効果が認められた。また担がんマウスを使った実験から、がん組織にベバシズマブに対する耐性が生じること(獲得耐性)が分ってきた。以上のように、概念の提唱から50年近く経った現在も、血管新生阻害療法は期待されたほどの効果を示していない。 本研究では、ベバシズマブによる抗腫瘍効果を補強し、血管新生阻害療法を大きく改善する方法の開発を目指している。この目的達成のため、ベバシズマブ投与のモデルマウスに対し、放射線治療効果を増感させる薬剤(金ナノ粒子)を腫瘍血管や腫瘍細胞へ送達させ、低線量の放射線によって「がん兵糧攻め療法」の効果を向上させる研究計画を立案した。 2019年度はベバシズマブ投与と併用する低線量の放射線治療の条件設定を行った。また、金ナノ粒子投与マウスに放射線照射を行い、放射線増感作用による腫瘍縮小効果について検討を行った。この結果を受け、2020年度は併用療法の質的効果を評価するため、その指標として重要となる「腫瘍血管の形態解析」、「腫瘍血管の血流解析」、「腫瘍血管の機能解析」、以上の解析方法の開発を中心に進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度はベバシズマブ投与と併用する放射線治療の条件設定を行った結果、これまでのマウス実験では低線量に相当する2Gyの複数回照射で併用療法効果を示すデータが獲得された。また金ナノ粒子を担がんマウスに投与し腫瘍に送達させた後、放射線を照射し、腫瘍縮小効果を確認したところ、投与金ナノ粒子の濃度依存的に放射線増感効果を得ることに成功した。 以上の抗腫瘍効果を質的に評価するため、2020年度は「腫瘍血管の形態解析」、「腫瘍血管の血流解析」、「腫瘍血管の機能解析」、以上の解析方法の開発を中心に進めた。 腫瘍血管の形態解析では、高分解能X線CT装置と造影剤により腫瘍血管全体を3Dで解析した。その後、得られたCT画像からより詳細な評価を必要とする組織部位を定めて腫瘍を薄切化した。その後、薄切組織に対し、血管内皮マーカーや血管平滑筋マーカーを標的として免疫染色による解析を行い、これを評価することに成功した。 腫瘍血管は血流の方向や流速が一定ではない。また血管構造としては存在するが、実際には血流が非常に乏しい血管が存在する。そこで腫瘍血管の血流解析では、蛍光レクチン(血管内皮結合蛋白質)を静脈注入して環流血管の内皮細胞に送達させた。その後腫瘍を摘出し組織切片化した後、血管内皮マーカーで蛍光染色した。血管内皮マーカーは血液環流の有無に関わらず、全て血管を染色する。よって全血管の中での環流血管の評価を試み、この方法の開発に成功した。 腫瘍血管の重要な機能の一つは、腫瘍血管からがん組織への物質漏出性の亢進(EPR効果)である。そこで腫瘍血管の機能解析として担がんマウスに造影剤としての金ナノ粒子を静注し、一定間隔でCT像を連続撮像し評価を行った。その結果、腫瘍血管から漏出する金ナノ粒子の粒子数を高精度解析し、EPR効果を評価することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の成果として、条件検討の結果、ベバシズマブ投与と併用する放射線治療の線量は、これまでのマウス実験では低線量に相当する2Gyの複数回照射で併用療法効果を示すデータが得られた。また金ナノ粒子を担がんマウスに投与し腫瘍に送達させた後、放射線を照射し、腫瘍縮小効果を確認したところ、投与金ナノ粒子の濃度依存的に放射線増感効果を得ることに成功した。 そこで2021年度は、2020年度に開発した「腫瘍血管の形態解析」、「腫瘍血管の血流解析」、「腫瘍血管の機能解析」、以上の解析方法をベバシズマブ等の血管新生阻害剤と放射線治療を併用したマウスの抗腫瘍効果の質的評価に応用する。その結果として、ベバシズマブ等の血管新生阻害剤が誘導する「がん兵糧攻め療法」の効果を向上させる治療法の確立を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Heterogeneous drug efficacy of an antibody-drug conjugate visualized using simultaneous imaging of its delivery and intracellular damage in living tumor tissues.2020
Author(s)
Gonda K, Negishi H, Takano-Kasuya M, Kitamura N, Furusawa N, Nakano Y, Hamada Y, Tokunaga M, Higuchi H, Tada H, Ishida T.
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Journal Title
Translational Oncology
Volume: 13
Pages: 100764-100764
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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