汗の蒸発潜熱を利用した新規発汗計測原理の創出とウェアラブル化の試み
Project/Area Number |
19K22958
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 90:Biomedical engineering and related fields
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 志信 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (40242218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野川 雅道 公立小松大学, 保健医療学部, 准教授 (40292445)
内藤 尚 金沢大学, フロンティア工学系, 准教授 (40392203)
鈴木 郁斗 公立小松大学, 保健医療学部, 助教 (10880768)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 発汗計測 / 皮膚温 / 蒸発潜熱 / 精神性発汗 / 温熱性発汗 |
Outline of Research at the Start |
発汗は体内の熱を放散し体温の恒常性を維持するために重要な生理現象である.近年増加している独居高齢者の熱中症予防などのためには、この「発汗機能」を実験室などの限られた場所だけでなく通常の生活をしながら「無拘束的」に計測することが極めて重要である。しかしこれまでに考案・開発されてきた発汗計測法は定量性に欠けたり,装置が大掛かりで「無拘束計測」に対応できなかった.そこで本研究ではこれらの問題を解決すべく、メカニカルな駆動部分が全く無い新規原理に基づく発汗量計測法として「潜熱補償型発汗量計測法」を提案しこの原理に基づくプロトシステムを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度における原理検証実験結果を受け、今年度は改良型プローブの試作とその性能評価を行った。 1.プローブの改良:前年度試作したプローブは蒸発領域皮膚温:Toと蒸発抑制領域皮膚温:Tcをそれぞれ別個のプローブで計測した。しかしin vivo計測時には、非発汗時の両センサ計測値を極力一致させる必要がある。そこでセンサ間距離を可能な限り縮め、かつ両センサ周囲の伝熱状態等を極力同一にすべく、ToおよびTcセンサを同一のハウジング内に設置した小型プローブを新たに試作した。具体的には、直径30mmのハウジング内にTcとToの両センサを10mm隔てて設置した。またセンサ背部の空間は伝熱の偏りが生じないように同一の空間を共有する構造とした。なお蒸散領域の形状寸法は掌および前額部での計測を考慮し直径7mmの円形とした。この試作プローブを34.0±0.1℃に温度制御した高精度サーモプレート表面に接着したゴム板に密着させ、その表面温度を両センサで計測したところ、平均温度差:0.05℃で高精度に計測可能であることが確認された。 2.市販発汗計との同時計測実験:上記検証を経た試作プローブに対して、前年度備品購入した市販発汗計との同時計測を行い、本装置により発汗の発現や発汗量計測が可能かどうか検証した。具体的には健常成人男性2名を対象とし、左前腕部に試作プローブおよび市販発汗計を極力近接して装着し、10分間座位安静の後、100W・5分間のエルゴメータ負荷を加え、両装置により発汗量データを比較した。その結果、発汗の発現と消失のタイミングが概ね一致していたことから、本手法によって発汗現象を検知可能であることが確認できた。しかし発汗量の絶対値は市販発汗計よりも一桁以上高値であったことから,ヒータの無効熱量の低減化や皮膚温の計測方法見直しなど、更なる改良が必要であることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記載のとおり、当初予定していた「メカニカルな部分の一切ない」小型の発汗計測プローブを具現化できており、in vivo試験により発汗現象の検知可能性も確認できた。しかし発汗量の絶対値は市販装置に比べ高値を示しており、皮膚温計測法の再検討等、改良の余地が残されているため「おおむね順調」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果よりToとTcの差と水の蒸発潜熱(2,500J/g)から発汗現象を検知可能であることが確認できたが、その発汗量推定値は市販発汗計に比べ高値を示した。そこで次年度ではこの課題を解決するため以下の改良化研究を行う。 1.非接触赤外センサを用いたTo、Tc計測精度の向上:現在用いているサーミスタでは、半導体チップに接続された金属リード線を介して熱伝導が生じ、これが温度計測精度に影響を及ぼすことが知られている。そこでこの様な誤差要因を払拭可能な計測法として赤外センサに着目しTo, Tc計測の高精度化を図る。(前述したサーモプレートを用いた温度計測精度検証実験においては計測誤差:0.05℃と高精度が得られたが、これはリード線を含めてサーミスタ全体が「等温」になっていたためと考えられた) 2.熱補償に依らない発汗量推定法の考案:上記した計測誤差の今一つの要因のとしてヒータの「無効加熱量」の影響が考えられる。そこでToとTcの差(⊿T)をヒータ加熱により補償するのではなく、⊿Tの値から直接発汗量を推定する方法を考案する。具体的には、体表温度の低下を促す熱流の経路を①組織から皮膚への熱流、②皮膚から空気への熱流、③皮膚から外界への放射熱と仮定し、⊿Tの値と上述した水の蒸発潜熱から発汗量が推定可能か検討する。 3.赤外センサを用いた新規計測法によるin vitroおよびin vivo性能評価実験:上記1、2を統合して赤外センサ式の発汗量計測システムを試作し、初年度と同様な方法によりin vitro試験下に原理検証実験を行うと共に、市販発汗計との同時計測実験によりin vivoの性能評価実験を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)