主観的解釈を生み出す英語知覚表現の用法に関する研究
Project/Area Number |
19K23062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Tokiwa University (2020) Yuge National College of Maritime Technology (2019) |
Principal Investigator |
板垣 浩正 常磐大学, 総合政策学部, 助教 (30845251)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 連結的知覚動詞構文 / 主体化 / 知覚・感覚 / 認知言語学 / 構文的拡張 / 体験的描写 / 概念化者 / 属性評価 / 構文文法 |
Outline of Research at the Start |
英語のJohn looks happy (to me).という文は、括弧内の「私」が、主語の「ジョン」を見て、「幸せそうだ」という評価を下す知覚表現である。この時、括弧内の知覚経験者が文に生じなくても、その存在が自ずと解釈される。本研究は、このような文には現れないが解釈される主体の存在の特性と役割を明確化させ、この存在の解釈を動機づける認知的メカニズムを解明することを目的とする。 本研究は、実例から収集した表現を認知言語学的に分析することで、言語の記述的側面と言語理論への貢献を与える。加えて、知覚表現以外の様々な言語表現を同一の原理によって捉え直すことを見越した、包括的な理論モデルを提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、英語の知覚動詞構文に類似する表現および、日本語における知覚表現を主要な考察対象に置き、言語表現上には現れないが解釈される主体(非明示の主体)に関して分析を進めた。英語・日本語コーパス(BNC, COCA, NOW Corpus, BCCWJ)だけでなく、ウェブ上で観察される事例も広く収集し、それぞれの解釈を検討していった。現段階で、次の二点をを明らかにしている。 ①形容詞補語を伴う行為動詞の表現("This wine drinks delicious" "This mattress sleeps comfortable"など)の拡がりを英語知覚構文と関連付けて検討した。とりわけ、sleepを用いた表現は、非明示の主体が話し手と解釈できる事例が多く見つかり、体験的な描写を好む可能性があることを指摘した。 ②日本語の知覚表現においては「これは不思議な味がする」・「これは不思議な味をしている」というように「ガスル」型と「ヲシテイル」型があるが、ここで解釈される主体にわずかな差異が存在することを明らかにした。具体的には、「ガスル」型では、知覚経験者として解釈される一方で、「ヲシテイル型」では、知覚経験者というよりも判断基準者としての解釈が強く読み込まれており、構文の形式によって非明示の主体の解釈に差異が見られることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、本年度に理論的説明付けを行う予定であった。しかし、「研究実績の概要」でも述べた事柄に関連して、 ①知覚構文に類似する表現に多様性が見られ、これらを一つ一つ検証する必要があったこと ②日本語表現は「ガスル」型のみの考察を予定していたが、「ヲシテイル」型の構文も同時に検討しなければ、知覚表現の全貌を把握できなかったこと などから言語表現の記述を優先して進めた。その結果、理論的考察がまだ不十分であるため、進捗に関してやや遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、認知言語学の視点に基づく当該構文の動機づけの提示とその裏付けが主要な方策となる。おもに認知言語学で提唱されてきた「主体性」などの理論的道具立てを実証的に検証することで補完・修正を行う。また、今年度に得られた研究成果の発表および刊行が2021年度に予定されているため、その準備も行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)