Project/Area Number |
19K23218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0107:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡地 迪尚 東北大学, 経済学研究科, 講師 (40812243)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
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Keywords | マクロ経済学 / 厚生経済学 / 国家債務危機 / DSGEモデル / 厚生損失 |
Outline of Research at the Start |
本研究ではマクロ経済学の手法を用いて、先進国の国家債務危機の影響による厚生損失を最小化するための政策を模索する。既存のモデル(戦略的財政破綻モデル)は先進国に適応可能でないため、新たに支払い不能による債務危機モデルを構築する。その上で、各国の特性に合わせたモデルを作り上げ、コンピュータシミュレーションにより様々な政策による厚生損失の変化を定量的に導き出す。データの制約からギリシャを始めとする欧州における債務危機を当面研究することになるが、日本など債務残高が高い国でも仮に債務危機が起きた場合における事前分析(pre-mortem)も行っていくことで現実社会にも有用な研究とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国家債務危機が生じた際における厚生損失を最小化するような政策の模索を目的として一歩一歩段階を踏んで理解を進めていくことにある。 まず第一歩として、現在、政府の破綻モデルとして用いられている戦略的破綻メカニズムが有効でないことを示し、代替となるモデルの模索をしている。戦略的破綻モデルとは、 破綻を選択する場合としない場合の価値を比較し、選択する場合の価値の方が高ければ政府自ら破綻を選択するモデルである。しかし、これは南米のように、破綻をした場合の経済への影響が十分小さい場合には当てはまるかもしれないが、日本のような規模の経済で妥当とは言い難い。そこで、戦略的破綻モデルが日本のような規模の大きな経済では破綻を選択できないことを示す。さらに、そのような国では、戦略的破綻ではなく、借り換えが出来ないことにより破綻が生じることを導き出す。もっとも、ギリシャのような国では借り換えが出来るに破綻することがありうるが、日本のような通貨発行権を有する国では、中央銀行による引き受けも出来るので、その場合との厚生損失の比較も行うつもりである。 今までは、経済学として先進国における政府の破綻のモデルを経済学は提供できていなかった。しかし、本研究により、それを示すためモデルを提供できるようになる。現在、モデル化は完成しつつある段階である。ただ、本研究で行うプログラミングは、破綻を含むため高非線形分析であり、かつある程度の複雑性を担保しようとすれば状態変数が多くるため、大規模なコーティングになる。モデルが完成したのち、コーディングの段階に入れば、モデルの微修正も行っていくことになるであろう。よって、現段階における研究の成果を判断するのは難しい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れ気味であると思われる。現在分析のための経済モデルは出来つつあるが、本来は昨年度中にコーディングを完成させておきたかったが、それが叶わなかった。理由はいくつか挙げられる。 (1) 従来の戦略的破綻モデルから逸脱し新しく、かつ複雑なモデル作り上げているので、想定よりも時間がかかってしまった。また、コーディングとしても、コンピュータ計算の時間を少なくするような手法が求められ、その点を考えつつモデルを構築しなければならず困難であった。また、計算スピードを軽減する技術の習得するにも時間がかかった。 (2) 昨年度は教員として初めて授業を受け持ったため、その準備に追われる時間が想定していた分量よりも多く、時間が取られてしまった。また、本年度より他大学へ移籍したため、それに向け昨年度末から再び授業の準備に追われることとなった。同時に講師から准教授と昇進させて頂いたが、それに伴い学生の論文指導など学内業務の量も格段に増えた。 (3) COVID-19の影響により、少なからず論文の進捗に影響を与えた。研究室に行くことができないために、具体的には研究室のパソコンにインストールされている計量分析のソフトが使えないことや、学術論文のダウンロードを満足に行えなかった点などである。また、他の研究者と議論する機会も減少してしまったのも、COVID-19が論文執筆に負の影響を与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は完成しつつあるモデルをもとに、コーディングを行いながらモデルの微修正等も行っていく。シミュレートにより結果が出たら、それを記述していく。 今年は間に合わなかったが、日本経済学会や海外での発表を考えれば、今年度中に完成させ、発表の申し込みをしていくことになるであろう。したがって、実際に発表を行えるのは、来年度になることが予想される。
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