The effects of attention control and cognitive processing for menstruation-related symptoms on psychological sufferings
Project/Area Number |
19K23374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0110:Psychology and related fields
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
稲吉 玲美 広島修道大学, 健康科学部, 助教 (30843825)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 月経随伴症状 / 心理的苦痛 / 内受容感覚 / 認知的対処 / マインドフルネス / 質的分析 / テキストマイニング / 注意制御 / 認知的処理 |
Outline of Research at the Start |
月経随伴症状という問題に対しては,女性が症状を抱えながらも自身の月経周期をマネジメントすることで,心理的苦痛を低減させるような心理的支援が重要である。研究代表者のこれまでの研究では,マインドフルネス・プログラムによる注意制御スキルの全般的な向上が基礎となり,月経随伴症状という固有の体験への態度の変容が自覚され,症状を生活の一部と捉えて上手に付き合える感覚が得られることが示唆された。本研究では,月経随伴症状という固有の現象への注意の向け方と認知的傾向の特徴およびそれらの相互作用を実証的に解明し,マインドフルネス・プログラムの月経随伴症状への適用に資する,より詳細な知見を得ることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究1:月経随伴症状に対する認知的処理に関する測定項目の抽出 <1-1:症状に対する認知的対処の検討>20-30代女性の月経随伴症状に対する認知的評価および対処について尋ねた自由記述をテキストマイニングによって分析し,月経随伴症状負担感の高低で比較した。症状に対しては,症状発現時の問題焦点―接近型のコーピングが奏功し,対処に対する自己効力感が向上すると,症状の存在に対する認知―問題焦点―回避型のコーピングも有効化するが,症状による負担感が高い者は自己対処の可能性が見出しにくく,そのぶんソーシャルサポートを希求すると推測された。<1-2:月経随伴症状コーピング尺度作成の試み>研究1-1の結果をもとに月経随伴症状コーピング尺度を作成した。因子分析の結果,「受身的認識」「積極的対処」「悲観的放棄」「回避的思考」の4因子からなる17項目が得られた。 研究2:内受容感覚と月経随伴症状による心理的苦痛との関連の検討 <2-1:月経随伴症状による心理的苦痛とwell-beingとの関連>症状による苦痛を感じている者は,自尊感情,主観的幸福度,生活満足度が低いことが示された。また,症状による心理的負担感が高い者は,人生における目的や自己受容の感覚が低かった。特に,不遇感が強い者は,人格的成長や積極的に他者関係を築く感覚が弱かった。<2-2:内受容感覚への気づきと心理的well-beingとの関連>月経随伴症状負担感が低い者ほど自己を肯定的に受け容れたうえで自己決定し,人生における目的や目標を持てる,内的受容感覚に気づきを向け,積極的に関与する傾向のある者ほど心理的well-beingが高い一方,症状による心理的負担も強く感じる,痛みや不快な身体感覚を無視せず,それに伴う精神的苦痛を心配しない傾向のある者は,自己決定力があり,独立できる,行動を調整できるという感覚を持てる,という知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において実施予定であった2回の調査(うち1回は縦断的な検討を行うため,同一人物への調査を複数回1セット)は実施し,分析もおおむね完了している。結果の一部は論文投稿および学会発表を行っており,残りの部分も2021年度中に論文投稿を行う予定である。 <公表が終了している知見> 研究1-1:稲吉玲美(2020).月経随伴症状に対する認知的評価および対処の検討―テキストマイニングを活用した自由回答の分析― 広島修道大学健康科学研究,4(1), 25-39. 研究2-2:稲吉玲美「内受容感覚への気づきと心理的Well-beingとの関連―月経随伴症状を有する成人女性のデータから―」(ポスター)日本心理学会第84回大会 2020年9月20日
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画における【研究3】月経随伴症状に対する有効な認知的処理に関する検討の部分について、研究計画の段階では,研究1, 2の結果に基づき,月経随伴症状に対する正確かつ安定した内受容感覚に基づく注意の向け方によって得られた情報に対する“ボトムアップ”の認知的処理と,既存の価値観や経験則に基づく“トップダウン”の認知に基づく体験の処理を区別し,研究3において両者の心理的苦痛の違いを検討し,有効な認知的処理を明らかにする予定であった。しかし,研究1, 2においてボトムアップ的な症状への注意制御や認知を描き出すことができず,研究対象者からはトップダウン的な症状への言及が得られるにとどまった。また,調査において,両者を明確に区別して対象者に認識させることに対する,方法論的課題も浮き彫りとなった。 一方,月経随伴症状という問題に対して心理学的理論に基づいた新しいとらえ方を提唱することと,当該問題に対する心理学的アプローチの普及は,相補的に進行していくものであるともいえる。今後は,理論に基づいた介入を実際に行い,実践研究による知見を蓄積することが重要となると考えられる。 今後は,残る研究1-2,2-1の公表を行うとともに,上記の課題について考察を行い,本研究を全体としてまとめる。必要に応じて,追加の調査を実施する(海外研修会への参加を計画した予算の繰越があるため,それを使用する)。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)