retriever複合体の機能不全が新規の先天異常症候群を生じるメカニズムの解明
Project/Area Number |
19K23823
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0802:Biomedical structure and function and related fields
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 耕治 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任助教 (40844056)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | レトリーバー複合体 / VPS35L / エンドソーム / 筋肉 / 骨形成異常 / 水頭症 / Prx1-Cre / Nestin-Cre / リサイクル機能 / 先天異常症候群 |
Outline of Research at the Start |
我々は新規の疾患原因遺伝子としてVPS35Lを同定した。VPS35Lはレトリーバー複合体を形成し、エンドソームにおける細胞膜蛋白質の選択的リサイクル機能を担う。このリサイクル機構は多くの細胞膜蛋白質の発現量維持に寄与しているが、疾患との関連については従来報告がなかった。我々が作成したVps35lのノックアウトマウスが胎生早期に致死であることと、患者の多様な形成異常を考えると、VPS35Lは個体発生に重要な役割を果たしていることが示唆される。本研究では、マウスモデルを用いてレトリーバー複合体が個体発生に果たす役割を解明すると同時に、その機能障害が先天異常症候群を引き起こすメカニズムを解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
我々は頭蓋顔面、小脳、骨格系などの形成異常を呈した兄弟例から、新規の疾患原因遺伝子としてVPS35Lを同定し、新規の疾患原因遺伝子として報告した。VPS35LのKOマウスは胎生早期に致死であったことを受け、Vps35l-floxマウスを樹立した。このfloxマウスを用いて、患者で明確な表現型がみられた骨格系の病態解析を行うためにPrx1-Cre、Col2a1-Creマウスと交配して、骨格系特異的Vps35l欠失マウス(S-cKO)を樹立した。また、神経系の発生における役割を検討するため、Nestin-Creマウスと交配し、神経系特異的KOマウス(N-cKO)を樹立した。 S-cKOマウスは、患者と同様に成長障害を呈し、脛骨長の短縮を認めた。また興味深いことに、筋力が著名に低下していた。筋力低下の原因を調べるために筋肉量を定量したところ、S-cKOマウスではコントロールに比して有意に筋肉量が低下しており、VPS35Lが筋肉の形成にも重要な役割を果たすことが示唆された。 Nestin-Creマウスを用いたN-cKOマウスでは、著名な成長障害、てんかん、過敏性を認め、半分以上が生後2-3週にかけて死亡することや、一部水頭症を呈することを明らかにした。胎児期、生後の胎児脳を用いた解析では、神経幹細胞の数の減少や、分化した神経細胞の数の減少がみられている。患者では異所性灰白質がみられ、神経細胞の遊走異常に関して注意して観察したが、我々のN-cKOマウスでは見られず、皮質の6層構造も正常に形成されていた。以上より、VPS35Lは中枢神経の発生において、神経細胞の分化・増殖に重要な役割を果たすことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はVPS35Lにおける両アレルの機能喪失型変異を新規の疾患原因遺伝子として報告した。患者は1家系2症例のみであり、我々が作製したノックアウトマウスも胎生早期に致死であったことより、更なる病態解析のためにVps35l-floxマウスを作製した。また、floxマウスを用いて筋骨格系特異的KOマウスと中枢神経系特異的なKOマウスを作製することができ、各マウスの表現型解析を行うことが出来ている。 筋骨格系特異的KOマウスでは患者と同様に長管骨の短縮を認め、また想定していなかった筋力低下を認めた。患者でも筋力低下を見られているため、更に病態解析を進めていく予定である。 中枢神経特異的KOマウスでは小頭症や行動異常、てんかん、水頭症など、多彩な表現型を呈しており、こちらも患者表現型を一部模倣できていると考えており、更に病態解析を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
Vps35l-cKOマウスの表現型解析が順調に進んでいるため、今後は病理学的解析とRNA/タンパクの解析を組み合わせることにより、背景に存在する分子病態を明確にし、治療法の開発へ繋げていく。 1.Prx1-S-cKOマウスに関しては、Rosa26レポーターマウスと交配することで、組換細胞のlineage解析を行う。組換細胞のうち、筋肉の分化成熟と関連の高い細胞種を中心にVps35lの果たす役割について検討する。 2.C2C12細胞と、Prx1と同様の間葉系幹細胞を用いて、それぞれでVps35lを欠損もしくは発現抑制した細胞で、筋肉の分化に関する影響を検討する。 3.Nestin-N-cKOマウスに関しては、神経細胞のみではなく、グリア細胞も含めてVps35lの機能との関連を病理学的に検討していく。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Biallelic VPS35L pathogenic variants cause 3C/Ritscher-Schinzel-like syndrome through dysfunction of retriever complex.2020
Author(s)
Kato K, Okuno Y, Vasilev FF, Otomo T, Oishi H, Muramatsu H, Kawano Y, Oka Y, Nakazawa Y, Ogi T, Takahashi Y, Saitoh S.
-
Journal Title
J Med Genet
Volume: 57
Pages: 245-253
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
[Presentation] Biallelic VPS35L pathogenic variants cause 3C/Ritscher-Schinzel-like syndrome through dysfunction of retriever complex2019
Author(s)
Kato K, Oka Y, Muramatsu H, Vasilev F, Otomo T, Oishi H, Kawano Y, Nakazawa Y, Ogi T, Takahashi Y, Saitoh S.
Organizer
ASHG 2019 Annual Meeting
Related Report
Int'l Joint Research
-
[Presentation] VPS35Lの両アレルにおける機能喪失型バリアントは 3C/Ritscher-Schinzel 症候群に類似の先天異 常症候群の原因となる2019
Author(s)
加藤耕治, 岡泰由, 村松秀城, Vasilev F, 大友孝信, 大石久史, 河野好彦, 中沢由華, 荻朋男, 高橋義行, 齋藤伸治.
Organizer
日本人類遺伝学会第64回大会
Related Report