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「遅れてきた国家」における立憲主義概念の受容と展開-日豪比較法研究

Research Project

Project/Area Number 19KK0324
Research Category

Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))

Allocation TypeMulti-year Fund
Research Field Public law
Research InstitutionSophia University

Principal Investigator

江藤 祥平  上智大学, 法学部, 准教授 (90609124)

Project Period (FY) 2020 – 2022
Project Status Granted (Fiscal Year 2020)
Budget Amount *help
¥13,520,000 (Direct Cost: ¥10,400,000、Indirect Cost: ¥3,120,000)
Keywords憲法 / 立憲主義 / オーストラリア / 比較法 / オーストラリア法
Outline of Research at the Start

本研究は、オーストラリアの研究者と共に、日豪の「立憲主義」概念の受容と展開のプロセス、及びその現代的問題点を調査・研究するものである。立憲主義の比較法研究としては、英米仏に代表される「先進国」に学ぶのが通例であるが、本研究は近代化に遅れた「継受国」を対象とするところに独自性がある。日本において立憲主義が国民に十分に浸透しない中で、同じく近代化に遅れたオーストラリアがいかに立憲化を果たしたのか、その経験を参照することは重要である。それを通じて、日本の立憲主義の固有性と普遍性も明らかになるはずである。

Outline of Annual Research Achievements

初年度である本年度は、研究代表者においては、研究計画の問題意識に照らして、オーストラリア憲法の全体像を把握することに努めた。主にシドニー大学の研究協力者のアドバイスを仰ぎながら、オーストラリア憲法に関する基礎的文献を集め、それを読解することに注力した。他方、研究協力者には、日本の立憲主義の歴史及び現状を伝えることで、問題の所在を理解してもらうとともに、比較法的見地からみて共通点や相違点を明確にすることに努めた。
それを通じて明らかになってきたのは、日本とオーストラリアはともに安全保障政策の必要性に迫られて国家を生み出し、さらに国家を発展させていったという事情である。すなわち、日本の近代化が外交上の必要に迫られてなされたことは周知の通りであり、またそのために対外的には国家の体裁を成していたが、対内的には様々な脆弱性を抱えてきたことは夙に指摘されてきた。しかし、同じく「遅れてきた国家」であるオーストラリアも、1901年に一応統一国家を達成したものの、イギリスとの関係ではなお微妙なパワーバランスの中に置かれて、さらにアジア移民の増加も重なって、常に国家のアイデンティティに悩まされる状況下にあった。白豪主義は人種差別として今日では批判され、それは無論正当な批判であるが、当時のオーストラリアの現実を踏まえると、立憲化を果たす上で必要悪として機能していた面があることが分かってきた。さらに、そのアイデンティティ・クライシスの背景には、20世期前半に東アジアを起点に勢力を拡大する日本の存在があることも分かってきた。その意味で、「遅れた国家」同士の比較法的研究として始まった研究は、二つの国家のせめぎ合いの様相も呈してきている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

初年度である本年度は、開始早々にパンデミックに見舞われたために、研究代表者はもちろんのこと、共同研究者の方でも学内外で様々な対応に追われて、当初予定していた内容の研究計画を十分に進めることができなかった。また、2年目に予定していた在外研究も、先方の受け入れの関係でずれ込むなど、不確定要素が今なお存在している。もっとも、この状況下でもできることについては、少しずつではあるが着実に進めている。オーストラリアに関する諸文献を読み込み、既存の問題意識をさらに進化させるとともに、共同研究者とはメールでのやりとりを通じて、問題意識を共有し、様々なアドバイスを受けている。現地に赴いた際にできること以外のことは、可能な限り、この制約された時間の中で達成していきたいと思う。

Strategy for Future Research Activity

当初2021年度の9月から予定していたシドニー大学での国際共同研究は、2022年度4月開始にずれ込む予定である。もっとも、それでは海外での知見を研究成果に十分にまとめ上げる時間がないことから、最終年度に研究期間の1年間の延長を申請する予定でいる。この時期の国際共同研究は様々な不確定要素が伴うが、Zoom会議を利用した研究会やシンポジウムの実施など、これまでにない新しい方法も生まれていることから、逆境をチャンスに変えていけるように取り組んでいきたいと思う。また、国内のオーストラリア法研究者にも研究協力を仰ぎつつ、研究課題を最適に実現していくつもりである。

Report

(1 results)
  • 2020 Research-status Report

URL: 

Published: 2020-02-06   Modified: 2021-12-27  

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