古典籍の異本生成構造と系統判別のための基礎的研究―数理的パースペクティヴ―
Project/Area Number |
20652019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
矢野 環 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (10111410)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 文献学 / 異本 / 系統学 / 茶道 / 香道 / 異文 / 連歌 / 伝書 / 華道 / 宗祇 / 老葉 / 北野大茶湯 / 茶入 |
Research Abstract |
連歌を中心として資料収集並びに研究を行った。進化学会においては、日本における写本文献学における成果という位置づけで、宗祇連歌句集「老葉」の写本間の関係を発表した。特に有注本(宗祇、または宗長などによる注記が記される写本)について、その注文の類似性を、単なる一致不一致による分類ではなく、文章としての類似度を考察することにより、精密な関係を見出すことができ、多変量解析による処理、また系統学的処理もより明確になることを発表した。 系統樹作成手法として通常は単語や文字の異文比較による最節約的変化を問題とするが、このような注釈が付されているものは、宗祇の注と宗長の注を合併する場合もあり、それも全体を転写するのではなく、一部分のみ利用する複雑な合成が行われる。そのため、個々の差異をとりまとめたより大きな特徴を、基準を定めて数値評価すれば、大局的な考察に適していることがわかる。特に、通常宗長注本の一つとされている系統が、実は宗祇の注を大きく取り入れており、別の一群として取り扱うべきことが明かとなった。 この方法は連歌注釈書と限らず、他の文献の系統学的考察にももちろん適用できるものであり、今後様々な発展が見込まれて重要である。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)