Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Research Abstract |
日常生活の歩行や運動時に作用する低レベルの負荷であっても,生体内の骨組織に微小損傷が発生することが知られている.この微小損傷は,骨の新陳代謝プロセスを制御しており,常に形成と吸収を繰り返して新しい骨に生まれ変わりながら,骨の機能が維持されている.すなわち,力学的負荷の作用による微小損傷の発生は,骨の健全性を保つために必要な現象であるといえる.しかし,微小損傷発生と生体内で作用する力学的負荷との定量的な関係や,疲労損傷の発生機序は十分に理解されていない.本研究では,ウシ大腿骨骨幹部より作製した皮質骨試料の骨軸方向に,非破壊的な過負荷を作用させ,その後に発生した微小損傷を蛍光顕微鏡を用いて観察した.試料には単一負荷を作用させる条件だけではなく,生体内の実働負荷の環境である繰り返しや静的の過負荷を作用させることで負荷様式の相違が微小損傷の発生に及ぼす影響について検討した.また,3種類の蛍光色素を使用した蛍光顕微鏡観察を実施することで,継続的に作用させた過負荷のもとで発生する微小き裂の進展の様子を調べた.微小損傷の観察は,骨軸方向に対して平行もしくは垂直方向の断面内で実施し,過負荷下での微小損傷発生の状況に関する基礎的知見を得ることを試みた.蛍光顕微鏡観察では,負荷の作用に対応して段階的に染色された微小損傷が認められ,損傷が進展していく過程を示す画像が得られた.また,各染色領域のき裂長さの計測結果から,微小き裂の進展に過負荷様式の相違による影響が認められ,単一過負荷よりも,繰り返しの過負荷や静的過負荷の場合で損傷が顕著となる傾向がみられた.さらに,過負荷を作用させた試料では,線状の微小き裂だけではなく,拡散性の微小損傷を示す領域も確認された.このような微小損傷の蓄積が,骨の自己修復能力を超える場合に,最終的に骨折を生じさせるような大きなき裂へと進展していくことが示唆された.
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