Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
昨年度までに、我々の得た揺らぎと応答およびエネルギー散逸量との関係式が、コロイド分散系の密度場のように、力学的自由度以外にも適用できることを明らかにした。これをさらに一般化して、粒子間の流体力学的相互作用を考慮し、流体場についても揺らぎと応答の関係を議論し、エネルギー散逸量に関する関係式を導くこと第一の目標として、考察を進めてきた。これが可能となれば、実際の分子モーターを形作るタンパク質と流体との相互作用や溶媒効果を取り入れることが可能となり、さらに広範な物理系・生体分子系にも適用範囲を広げることが期待される。第二の目的として、これまでは、エネルギー散逸量の平均値しか議論していなかった理論を、散逸の揺らぎの高次モーメントの情報を取り込むことによって、理論の形式をより一般化することを目指して研究を行った。これら2つの目標のうち、特に第一の目的に対しては、微小粒子やタンパク質の単純液体中の運動は、低レイノルズ数の流体力学現象であり、Stokes方程式で記述でき、流体系が線形で時間を含まないことからエネルギー散逸に関しては、散逸関数で変分原理的に書き表すことが可能であり、粒子の運動を記述するダイナミクスと併せても統一的な力学表現が可能となる。この考察を進めていくことにより、一般化の可能性が広がるという一定の見通しがえられるなど、一定の進歩を得ることが出来た。
All 2009 2008
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (9 results)
生物物理 Vol.49(2009)
Pages: 88-89
10025975533
Physical Review E 79