Project/Area Number |
20930023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
医学Ⅲ(臨床医学)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸川 活司 Hokkaido University, 北海道大学病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥580,000 (Direct Cost: ¥580,000)
Fiscal Year 2008: ¥580,000 (Direct Cost: ¥580,000)
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Keywords | EUS-FNA(膵穿刺) / maspin / maspin m-RNA |
Research Abstract |
【研究目的】近年では膵癌患者の治療法の一つである化学療法を行うためにはSurgical evidenceを得ることが必須となり、それを得る目的から、当院では超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を用いた膵臓穿刺吸引細胞診または生検組織診断を積極的に行っている。しかし、EUS-FNAで採取されている細胞量が少ない場合や、形態的に異型が乏しく診断に苦慮する例も少なくない。そこで今回我々は膵癌のマーカーとして有用性が報告されるmaspinに注目し、診断補助の目的から生検検体または細胞診標本を用いた抗maspin抗体の免疫組織・細胞化学染色とmaspin遺伝子発現検索を取り入れた補助診断を検討した。 【研究方法】EUS-FNA(膵臓穿刺)にて採取された20症例(通常型膵管癌:15例、扁平上皮癌:1例、内分泌腫瘍:2例、転移性癌:1例(乳癌)、慢性膵炎:1例)について検討した。細胞診塗抹標本から細胞転写後、抗maspin抗体の免疫染色を行い上皮性細胞におけるmaspin蛋白発現量を染色態度で0陰性,1+(核のみ陽性),2+(核+細胞膜),3+(核+細胞質)の4段階に分類した。また、それぞれの検体採取時に得られた少量の組織片を用いTotal RNAを抽出後、cDNAを生成し、β-actinチェックにてsampleの質を確認後、maspin特異的プライマーを用いてreal time PCRを行い、maspin mRNAの発現を定量し染色性と比較検討した。 【研究成果】免疫染色において通常型膵管癌15例中のmaspin染色強度は0:1例、1+:4例、2+:4例、3+:6例であった。扁平上皮癌3+、転移性癌1+の陽性像をみるも、内分泌腫瘍、慢性膵炎では陽性像を認めなかった。また、1+以上の陽性像を得られた通常型膵管癌14例中、7例でmaspin mRNAの発現を認めたが、転移性癌、内分泌腫瘍、慢性膵炎ではmaspin mRNAの発現は認めなかった。染色態度とmaspin mRNA発現量の関係を解析したところ、1+以下の9例中全てにおいてmRNAは低発現、2+以上の11例中9例で高発現であった。染色態度とmaspin mRNA発現の相関係数は0.6019と、相関関係が得られた。染色態度とmaspin mRNA発現の関係から、通常型膵管癌の細胞学的推定においてmaspin染色陽性と判定するには、核のみの陽性像ではなく、細胞膜、細胞質の陽性像の確認が必要であると考えられた。しかし、通常型膵管癌症例中で染色態度が2+以上の症例においてもmaspin mRNA発現が低値であった症例も少数ながら見られ、その解釈については今後、更なる検討が必要と考えられた。
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