Project/Area Number |
20H00368
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森田 明弘 東北大学, 理学研究科, 教授 (70252418)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 達也 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (10421364)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥45,370,000 (Direct Cost: ¥34,900,000、Indirect Cost: ¥10,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
Fiscal Year 2020: ¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
|
Keywords | 分子シミュレーション / 液体界面 / 振動分光 |
Outline of Research at the Start |
本グループが世界に先駆けて開発してきた界面和周波分光の理論を発展させ、最先端で包括的な界面分光の理論、およびそれに基づく計算手法を確立する。本理論手法を実装する計算プログラムの高度化を進めて、電極界面や有機薄膜など幅広い界面構造に対応する分光解析を確立し、実験計測との共同研究の基礎を築く。さらに、近年の界面分光の進展に伴って注目される界面分光の基礎にある未解明な問題に取り組み、界面分光の理論体系を深化させるとともに、その成果を分光解析に反映する。さらに界面でのキラル系検出など今後の発展可能性の大きな応用面をサポートする理論と計算手法を整備する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
液体の界面は多くの分野にまたがる重要な対象であるが、現象論を超えて精密にミクロな界面現象を解明する試みは、意外なほど未開拓であった。本研究の目的は、液体界面の構造と機能を、分子レベルの精緻な手法と新たな理論的な視点によって格段に解明することである。本研究では、液体界面をミクロに観測できる有力な2大手法といえる和周波分光と分子動力学計算の緊密な協力を遂行できる特長をもち、これは本グループの和周波分光の理論開発によって実現されたものである。今後実験計測との共同研究を含めて液液界面や有機薄膜、電極界面などへと研究対象を展開する。さらに理論面でも、申請者が確立した界面の非線形感受率の理論と計算手法を発展させて、界面分光の基礎にある未解決な問題に取り組み、界面分光の包括的な理解を確立する。 これまでに界面分光の基礎理論を深めて確立するうえで、いくつかの特筆すべき成果をすでに与えている。本年度に特筆すべき主要な実績としては、界面分光におけるフレネル係数の効果を解明する成果を与え、その一般的な応用の指針と実際に解析するプログラムを発表した。従来、複素屈折率分散が特に大きな振動バンドの和周波スペクトルの解釈で、フレネル係数の分散の効果は考えられていなかった。本研究では代表的な振動バンド内での複素屈折率の定量的な分散を測定して報告するとともに、その解析プログラムを公開した。そして屈折率分散をもとにフレネル係数とその分散を定量的に解析して、界面スペクトル形状を支配する場合となる指針を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、界面分光の理論開発を国際的に先導する体制をもとに界面分光の理論を包括的に確立することを目指す。研究代表者は、界面非線形スペクトルを支配する中心的な物性量である非線形感受率の基礎表式と計算手法を確立してきた。本研究課題の発足後には、非線形感受率に含まれるバルクの四重極効果も求める手法を与え、この包括的な解明が進展中である。さらに概要でも述べたように、従来問題とされてこなかったフレネル係数の分散の効果を解明し、実験的な解析にも使いやすい形にプログラムの実装を与えて公開した。 これらは当初の研究計画を具現化する成果であり、界面分光の理論での国際的なリードを確立するうえでも重要な成果である。以下に示すような今後の研究の推進についても準備が進展しており、今後の成果も十分に期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、完全な界面和周波分光の理論の確立に向けて、以下の研究テーマを推進する。 (1) 界面分光のバルク成分を電気四重極子と磁気双極子の両方を考慮する形に計算手法を整備し、非線形感受率の全体を計算する手法を確立する。さらに和周波分光計算を時間相関関数に基づいて計算する手法を実装し、界面成分とバルク成分の両方を含むスペクトル計算を実施する。(2) 界面分光の時間相関関数計算における境界条件の役割と曖昧さを解決する。有限サイズの分子シミュレーションから表面シグナルを計算して取り出すには、漸近的なバルク領域に対する適切な境界条件が必要とされるが、その正しい形は確立されておらず曖昧さを残していた。本研究では境界条件の重要性を評価してその問題を解決するとともに、バルク四重極成分の計算と境界条件の関係も解明する。(3) 有機単分子膜の分子モデリングと和周波スペクトル計算、および界面の誘電率を解明する。分子膜内部の構造を考慮して誘電的性質を分子シミュレーションで詳しく解析する。(4) キラル系の和周波分光の理論と計算手法の開発を行う。キラル系への和周波分光の応用は大きな応用範囲をもち、その利用を先導する理論を開発する必要がある。キラル系の和周波分光において重要となる電子共鳴を取り入れる形に従来の時間相関関数の理論を拡張し、現実の分子でのキラルSFGの計算を実施する。(5) 水表面における反応場の特徴を解明する。表面での特異な反応性が顕著に現れる光化学反応を例にとって、特異な水和環境下での電子状態計算をもとに、水表面の反応性の機構を分子レベルから明らかにする。
|