Project/Area Number |
20H00405
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 37:Biomolecular chemistry and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松森 信明 九州大学, 理学研究院, 教授 (50314357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
老木 成稔 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 特命教授 (10185176)
岩本 真幸 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40452122)
木下 祥尚 九州大学, 理学研究院, 助教 (40529517)
神田 大輔 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80186618)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥45,890,000 (Direct Cost: ¥35,300,000、Indirect Cost: ¥10,590,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2020: ¥23,530,000 (Direct Cost: ¥18,100,000、Indirect Cost: ¥5,430,000)
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Keywords | 脂質 / 膜タンパク質 / 相互作用 / ケミカルバイオロジー / 表面プラズモン共鳴 / KcsA / バクテリオロドプシン / 金ナノ粒子 / 脂質ケミカルバイオロジー |
Outline of Research at the Start |
本研究では、脂質-膜タンパク質間相互作用解析のプラットフォーム構築を目指す。このプラットフォームでは、「自己組織化単分子膜修飾SPR」や「膜タンパク質固定化金ナノ粒子」によって膜タンパク質特異的脂質を同定する。次いで「特異的脂質が膜タンパク質機能に与える影響」を精査する。さらに「特異的脂質が膜タンパク質会合状態に与える影響」「特異的脂質と膜タンパク質の共結晶化による複合体構造解析」までを行う。このようにして脂質-膜タンパク相互作用解析の新しい方法論を提示し、脂質機能および脂質多様性の解明に繋げる。さらに本研究を通して申請者の提唱する「脂質ケミカルバイオロジー」新学理の研究拠点形成を達成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
「生物はなぜ多様な脂質を有するのか?」という根源的な問いに対する一つの答えとして、膜タンパク質の構造や機能を制御するために多様な脂質が必要である、との仮説が成り立つ。一方で、脂質-膜タンパク質間相互作用解析の方法論が欠如しているため、この分野の研究は立ち遅れている。そこで本研究では、松森らが脂質膜研究で開発した分析手法を集約化することで脂質-膜タンパク質間相互作用解析のプラットフォームを構築し、脂質機能および脂質多様性の解明を目指す。 我々はすでに表面プラズモン共鳴(SPR)センサーチップの金基盤表面を自己組織化単分子膜で修飾することで膜タンパク質を高密度に固定化することに成功し、膜タンパク質特異的脂質の分析を可能にした。これを放線菌由来のカリウムチャネルKcsAに適用し、カルジオリピンが特異的に結合するとともにチャネル開口を促進することを見出した。令和5年度にはこれに関する論文が掲載され、さらにもう一報の投稿を準備している。 一方、SPRを用いた相互作用解析方法では精製した脂質を分析する必要がある。この欠点を補うために、金ナノ粒子をSAMで修飾し、これに膜タンパク質を固定化することで、脂質混合物から膜タンパク質特異的脂質を簡便に取得する手法を発案した。バクテリオロドプシン(bR)を用いて本アイデアの検証に成功し、令和5年度に論文が掲載された。さらにこの手法をKcsAにも適用し、生体膜由来の脂質混合物からの特異的脂質を見出すことに成功した。 さらに、金ナノ粒子は強い赤色を呈することから、PVDF膜に付着させた脂質をこの膜タンパク質固定金ナノ粒子で染色することで、特異的脂質をより簡便に検出する手法の開発も開始し、おおむねこれを達成した。 一方、脂質を担体ビーズに脂質膜と同程度の密度で固定化し、そこに結合するタンパク質を網羅的に解析する手法についても論文投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カリウムチャネルKcsAと脂質の相互作用に関して、カルジオリピンが脂質膜の外葉に存在するだけでチャネル活性が亢進することを明らかにした。これまでKcsAが内葉の脂質と相互作用することは報告されていたが、外葉の特異的脂質と相互作用しチャネル活性を亢進するという新発見に至った。さらにKcsAに変異を導入することで、カルジオリピンの相互作用部位を特定することができた。この結果をもとに分子動力学シミュレーションを行い、カルジオリピンの作用機構まで迫ることができた。このように、KcsAの特異的脂質の同定、その機能解析、さらに計算による裏付け、までの一連の研究が完成し、論文掲載に至った。 また金ナノ粒子を用いた膜タンパク質特異的脂質の取得に関しても、方法論として完成させることができた。これについてはバクテリオロドプシンを用いて概念検証を行い、論文掲載された。これにより脂質混合物からの特異的脂質の同定が簡便化が達成できた。本手法の確立は本申請の成否を分けることから、申請課題達成の目途が立ったと言える。現在はKcsAについて脂質混合物から特異的脂質をリピドミクスの手法を取り入れて探索しており、これもうまくいっている。 さらにこの派生法として、金ナノ粒子の赤色を利用した新たな脂質検出法の開発にもほぼ成功した。本手法は膜タンパク質に結合する薬剤の探索にも応用でき、本方法論は大きな波及効果が期待できる。 さらに、長年の念願であった脂質固定ビーズによる脂質結合タンパク質スクリーニングについても良好な結果が得られ、スフィンゴミエリンやセラミド固定ビーズに関しては論文投稿に至った。さらにコレステロール固定ビーズの調製にも成功し、次の論文につながる興味深い結果を得た。これに関しては、プロテオミクスの手法も導入し高度化を図っている。 以上、本研究は2024年度の最終年度に向けて順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
金ナノ粒子を用いた方法論に関して、金ナノ粒子にKcsAを固定化し、KcsA生産菌である放線菌の脂質抽出液を作用させ、放線菌膜で実際にKcsAと相互作用している脂質の探索を行う。また、取得した脂質によるKcsAの活性化も検討する。 また、本手法を用いた膜タンパク質結合薬剤の探索も本格化する。これに関しては、理研の化合物アレイを用いる準備が進んでおり、最終年度中に結果を示すことができる。金ナノ粒子の赤色を利用することを想定していたが、検出には蛍光が有利であることから、金ナノ粒子の代わりに量子ドットを用い、量子ドット上に脂質を生やして膜タンパク質を固定化する方法を検討する。金ナノ粒子で用いた方法がそのまま転用できる。 また、脂質固定ビーズについても、プロテオミクスを本格的に導入して脂質特異的タンパク質同定のスループットを上げる。さらに固定する脂質のバリエーションも増やしていく。 これにより脂質ー膜タンパク質相互作用に関して、「膜タンパク質特異的脂質」および「脂質特異的膜タンパク質」、どちらも同定可能な統合分析プラットフォームが完成する。
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