Budget Amount *help |
¥44,850,000 (Direct Cost: ¥34,500,000、Indirect Cost: ¥10,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,920,000 (Direct Cost: ¥8,400,000、Indirect Cost: ¥2,520,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,920,000 (Direct Cost: ¥8,400,000、Indirect Cost: ¥2,520,000)
Fiscal Year 2021: ¥10,920,000 (Direct Cost: ¥8,400,000、Indirect Cost: ¥2,520,000)
Fiscal Year 2020: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ω3脂肪酸に固有の代謝経路の律速酵素CYP4F18の遺伝子欠損マウスが乾癬様皮膚炎を自然発症すること、CYP4F18が樹状細胞に高発現しており、バクテリア由来抗原の刺激に対する炎症性サイトカインの誘導を負に制御すること、さらにそのメカニズムとしてEPA由来の17,18-diHETEの寄与を明らかにした。また、CYP4F18が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)病態悪化の抑制に寄与しており、そのメカニズムとしてDHA由来の19,20-EpDPEが、受容体GPR120を介してhepatic crown-like structureの形成および肝線維化の進行を抑制することを明らかにした。EPAの摂餌投与により、脈絡膜の菲薄化や近視の進行が有意に抑制されることを報告した。多価不飽和脂肪酸の二重結合位置を見分ける新しい方法論として、酸素ラジカル誘起乖離(OAD)法に基づく解離則の体系化と解析ソフトウェアの開発に成功した。アトピー性皮膚炎を自然発症するモデルマウスSpadeのノンターゲットリピドミクスから、炭素鎖長22以上の極長鎖脂肪酸を含有したジヒドロセラミド(Cer[NDS])の顕著な減少、およびセラミド不飽和化酵素Degs1の比活性亢進を見出し、その是正がアトピー性皮膚炎の予防・治療につながることを示した。加齢マウスや高脂肪食投与マウスにおいて、腎臓の虚血再灌流障害後の慢性期に三次リンパ組織(Tertiary Lymphoid Tissue; TLT)が誘導されるが、TLT形成においてコレステリルエステル(CE)の異常蓄積が関与することを明らかにした。Sterol-o-acyltransferase阻害剤を投与することで、CE蓄積および急性腎障害後のTLT成熟化、腎線維化、炎症性サイトカイン発現が有意に抑制され、脂質代謝異常の是正により腎障害の予後が改善することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
脂肪酸代謝バランスの変化による疾患制御の分子メカニズム解析として、ω3脂肪酸に固有の代謝経路「ω3脂肪酸カスケード」の律速酵素CYP4F18の欠損マウスの解析から、皮膚炎の抑制に作用するEPA由来の17,18-diHETE、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態抑制に寄与するDHA由来の19,20-EpDPEなど、ω3脂肪酸由来の機能性代謝物の新規同定に成功した。また、アトピー性皮膚炎モデルマウスや慢性腎障害の病態形成過程を経時的にノンターゲットリピドミクスで解析し、セラミド代謝系やコレステリルエステル代謝系など、それぞれに特徴的な脂質代謝異常を見出し、その是正による予防・治療の可能性を示すことができた。また、ω3脂肪酸をはじめ生体内の多価不飽和脂肪酸の二重結合位置を見分ける新しい方法論として、酸素ラジカル誘起乖離(OAD)法に基づく解離則の体系化と解析ソフトウェアの開発に成功した。いずれも当初の計画以上に進展し、今後の発展性が大いに期待される。
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