A Study on the View of Life and Death in the Modern Art : With special Reference to Vanitas Representations
Project/Area Number |
20H01206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
香川 檀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (10386352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 圭子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (40529947)
ゴツィック マーレン 福岡大学, 人文学部, 教授 (50712444)
岡添 瑠子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (50803623)
仲間 裕子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (70268150)
結城 円 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (70975937)
鈴木 賢子 京都芸術大学, その他の研究科(大学院), 准教授 (20401482)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
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Keywords | 美術 / 現代アート / 死生観 / ヴァニタス / 現代美術 / ドイツ / 日独比較 / 生の儚さ / 比較文化 |
Outline of Research at the Start |
近現代の欧米や日本の美術作品のなかで、「生に終わりがあること」「生の儚さ、うつろいやすさ」の観念がどのように表現されているかを、17世紀オランダの「ヴァニタス」絵画の定型表現や、疫病の流行から生まれた「死の舞踏」などを手掛かりに明らかにする。美術の伝統的な図像が、現代にどのように「回帰」し、変化をとげているのか。死を意識した人生観である「ヴァニタス」は、複雑な時間意識の構造をもっており、メランコリーや憂鬱にも、また限りある生を味わいつくそうとする高揚感にもつながる。ドイツで進められている同テーマの研究プロジェクトと交流しながら、西洋と日本の死生観の表現における共通点と相違点をさぐる。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる2020年度分の研究計画では、文献の収集と研究、国内研究会の実施、およびドイツ渡航による研究交流を予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大により渡航できなくなったため、国内での文献研究と研究会での報告、ゲスト講師による講演会、そして国内での美術展の訪問による作品研究が活動の中心となった。 とくに文献研究において、ドイツで理論化されている「現代芸術へのヴァニタスの回帰」が、現代日本の芸術研究に新しい視点を提供するものであることが確認できた異議は大きい。 これらの調査と研究をつうじて、研究代表者である香川檀は戦後日本の美術作品をとりあげヴァニタスの観点から読解した論文を執筆し、ドイツで開催された国際シンポジウムにて発表した。また、当科研費研究会では、研究分担者の石田圭子が、ドイツのファシズム美術をヴァニタスの観点も踏まえて分析した発表をで発表し、ファシズム美学がもっている時間意識について解明した。同じく研究分担者の仲間裕子とマーレン・ゴツィックは、日本の現代美術および写真をとりあげ、「生の儚さ」や「死生観」という点からの研究発表を行なった。研究協力者としてプロジェクトに関わっている鈴木賢子は、ドイツ出身の小説家W.H.ゼーバルドの作品をとりあげ、挿入されている写真とテクスト読解から、ヴァニタスのモチーフが重要な役割をはたしていることを明らかにした。ドイツ在住の研究協力者である結城円は、日本の現代写真がドイツで「ヴァニタス」表現として受容されていることに注目し、異文化間でのイメージ理解のずれ、「翻訳不可能性」について発表した。 これらはまだ研究途上の段階だが、今後、学会発表や、当科研費研究会が主催するシンポジウムなどをつうじて練り上げていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大のため、予定していたドイツへの渡航調査と研究交流はできなかったが、オンラインを使ってのミーティングやゲスト講演会などで補い、当初の研究計画に照らすとおおむね順調に進んでいる。 文献収集と文献研究については、ドイツの研究者から提供された論文集を本科研費研究会にて精読し、関連文献を収集・調査するなどして知識を深めた。その結果、ヴァニタスや「生の儚さ」という研究視点が日本の現代美術を死生観という点から分析するために有意義であることが理解できた。今後の研究にとって、重要な理論的基盤となると考えられる。 ゲスト講演会では、ドイツの美術研究者を招いてのオンライン講演会を2回、開催した。ヴァニタスや聖性といった分析概念で現代アートを考えることの有効性を、理論的背景や具体的な作品分析をつうじて示していただいた。 また、死生観については、日本美術や現代のバイオ・アートの専門家に招聘講演を依頼し、過去から現代におよぶ日本人の死生観の視覚表象について知識を深めることができた。ここからさらに、日本人の時間意識について専門知識を得る必要があるという認識にいたり、今後の研究のポイントがひとつ見えてきた。こうした共通認識に立って、研究プロジェクトの各メンバーは、それぞれドイツ美術、日本の現代アート、写真芸術、ドイツ文学と写真、といった自身の専門分野について、個別に研究を進めている。 研究発表については、研究代表者の香川が、ドイツで開催されたオンライン国際シンポジウムに参加し、日本の現代美術におけるヴァニタス表象について発表した。日独の共同研究による国際比較を行なっていくうえで、重要な一歩となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、以下の5点が挙げられる。 1. 日本文化や思想の研究者を招いての、「日本人の死生観および時間意識」に関する講演の開催。これまでにも候補者の名前はいくつか挙がっているが、まだ決定に至っていない。引き続き、情報収集を重ねて、早期に開催したい。 2. プロジェクト・メンバーによる研究会の継続。研究の進展により、新しい文献や作品の情報が蓄積されており、これをメンバーで共有することで、さらにイメージ学の知見を深めていく。 3. 研究成果の発表。これまでは非公開による内輪の研究会が主体であったが、今年度からは少しずつ公開での研究発表を増やしていく。さしあたりまず、表象文化論学会の大会(7月2日と3日、東京都立大学)でのパネル発表に応募し、研究分担者と研究協力者の計3名(ゴツィック、鈴木、結城)による報告を行う。研究代表者(香川)は、パネル組織者として司会とコメンテータを務める。 4. ドイツの研究者との共同ワークショップの開催。今年度の後半には、ドイツのプロジェクト・リーダーであるフォン・フレミング氏(ブラウンシュヴァイク美術大学教授)を招いて、ワークショップを行い、日本側のプロジェクト・メンバーの発表に対してコメントいただく。これを準備作業として、来年度には日本での国際シンポジウム開催をめざす。 5. 作品調査の推進。文献研究を重点的に行なってきたこれまで以上に、国内、国外の美術展を訪れて現代アートを中心とした作品の実見を行う。それによって、研究の素材となる美術作品の幅が広がり、現代アートのアクチュアルな傾向も把握できると考えられる。今年はドイツ・カッセルでの『ドクメンタ』とイタリアでの『ヴェネチア・ビエンナーレ』が開催されるので、現地調査を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)