Project/Area Number |
20H01245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松永 京子 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50612529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ゴーマン マイケル 広島市立大学, 国際学部, 教授 (20625892)
川口 隆行 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30512579)
小杉 世 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (40324834)
伊波 陽子 (村上陽子) 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (40780581)
ジェイコブズ ロバート 広島市立大学, 付置研究所, 教授 (60423969)
一谷 智子 西南学院大学, 外国語学部, 教授 (70466647)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 核文学 / 原爆文学 / 植民地主義 / 先住民文学 / 環太平洋圏 / (ポスト)コロニアリズム / エコクリティシズム / 環太平洋 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、これまでアメリカ大陸、オセアニア、東アジアなどの地域を中心に個別に発展してきた核・原爆をめぐる言説や表象を(脱)植民地主義という特定の視座から総合的に検証し、従来の〈原爆文学〉研究や〈核文学〉研究から抜け落ちていた社会運動との関係性、領域横断的なテーマ、表象形態の可能性を探求することで、トランスパシフィックな核・原爆のナラティヴをより豊かな知の体系として再編成することを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2021年度と同様、各メンバーがそれぞれ担当地域を中心とした関連研究テーマについて資料収集、調査、文献分析をおこなった。具体的には、松永はアラスカにおける核実験反対運動と先住民運動の関連性を調査し、アラスカ先住民による新聞 Tundra Times などのメディアがこれらの運動においてどのような役割を果たしたのかを調査・分析。ゴーマンはエネルギーをめぐる「環境的暴力」や植民地主義的政策を調査し、五大湖周辺を中心としたアメリカ中西部における先住民文学や環境文学を分析。ジェイコブズはフランス領ポリネシアにおけるメモリアルをめぐる核の記憶の植民地化について調査・分析。小杉はオーストラリアやニュージーランドの先住民作家による作品を調査し、トランスパシフィックな核のつながりを検証。一谷はマーシャル諸島出身のキャシー・ジェトニル・キジナーの詩集や震災前後に書かれた津島祐子の作品を調査・分析。川口は東アジアの文脈から原爆表象、社会運動、植民地主義の相関関係を調査・検証。村上は沖縄被爆者表象や沖縄文学における原爆表象を調査・検証した。また、定期的な研究会を開催して進捗状況の確認や意見交換をおこない、本研究代表者と分担者の調査・分析結果を共有する中間発表の場を設けた。
国際フォーラム「環太平洋地域における核をめぐる想像力と植民地主義」の一環として開催する予定だったドキュメンタリー映画『寡婦の村』鑑賞会、ピーター・ブロウ監督とピーター・ヴァン・ウィック氏の対談及びディスカッションを、2023年度に実現するため、『寡婦の村』を翻訳し、本ドキュメンタリー映画の歴史的社会的背景の研究を進めた。また、植民地主義の歴史と文化表象の関わりの理解を深めるため、沖縄での研修を開催し、「沖縄戦の図」や米軍基地の汚染問題などについて学ぶ機会を設けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度よりも現地での調査や資料収集をおこなう機会が増え、研究成果につながる収穫も多かった。とくに、沖縄での研修では、原爆、植民地主義、環境問題に関連するさまざまな歴史的社会的背景を学ぶとともに、共同研究の基礎となる問題意識を共有することができた。
本年度は、国際フォーラム「環太平洋地域における核をめぐる想像力と植民地主義」の一環として開催する予定だったドキュメンタリー映画『寡婦の村』鑑賞会、ピーター・ブロウ監督とピーター・ヴァン・ウィック氏の対談及びディスカッションを開催できなかったが、作品の翻訳や分析など、開催実現に向けての準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2023年度は、2019年度から2022年度におこなった資料収集、調査、文献分析に基づき、共著 Nuclear Colonialisms and Transpacific Imaginations (仮)の執筆と編集作業を進める。具体的には以下を遂行する。松永は、アラスカ先住民による新聞 Tundra Times やアラスカにおける核実験に関する文学・映像作品を分析し、反核運動と先住民運動の関連性について検証・執筆する。また、出版社と連絡をとりながら、共著出版の準備を進める。ゴーマンは、松永とともに共著の編集をおこないながら、五大湖周辺を中心としたエネルギーをめぐる「環境的暴力」と植民地主義的政策について分析・執筆。ジェイコブズはフランス領ポリネシアにおけるメモリアルをめぐる核の記憶と植民地化の問題について分析・執筆。小杉はジェームズ・ジョージによる小説 Ocean Roads を中心に、トランスパシフィックな核のつながりを検証・執筆。一谷は、キャシー・ジェトニル・キジナーの詩集や津島祐子の作品をとりあげながら、帝国主義の連続性について検証・執筆。川口は、深川宗俊や御庄博美の作品を中心に、在韓被爆者支援と文学の関係性について検証・執筆。村上は、坂手洋二の作品を中心に、沖縄の被爆者をめぐる記録と物語を分析・執筆する。
2023年度は、国際フォーラムの一環として企画していたドキュメンタリー映画『寡婦の村』上映会、ピーター・ブロウ監督による講演会及びシンポジウムを開催する予定である。また、これまでと同様、年に3回程度の研究会を開き、進捗状況の報告、研究内容の意見交換、今後の展開についての話し合いをおこなう。研究成果の一部は、エコクリティシズム研究学会やWestern Literature Association 学会などで報告する予定である。
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