Project/Area Number |
20H01332
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 宏昭 筑波大学, 人文社会系, 助教 (70706952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 裕幸 中央大学, 文学部, 教授 (10637317)
森本 慶太 関西大学, 文学部, 准教授 (20712748)
宮本 隆史 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (20755508)
昔農 英明 明治大学, 文学部, 専任准教授 (20759683)
高林 陽展 立教大学, 文学部, 准教授 (30531298)
津田 博司 筑波大学, 人文社会系, 助教 (30599387)
梅澤 礼 明治学院大学, 文学部, 准教授 (50748978)
堀内 隆行 中央大学, 文学部, 教授 (90568346)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 数値化 / 統計学 / 植民地主義 / 生体認証 / 可読的身体 / 移民 / 植民地 / 指紋法 / 監獄制度 / 住民登録 / 優生学 / 難民管理 / 臨床医学 / 形質人類学 / 犯罪文学 / パスポート制度 / 身体史 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、今日の生体認証技術に体現される「可読的身体」(readable body)を身体史の観点から考察し、現代世界に遍在する西洋的身体の歴史的位相を解明することで、歴史研究の新領野を開拓することにある。すなわち西洋近代において個人識別(生体認証)技術の開発を可能にした歴史的コンテクスト、つまり身体を情報の集積と捉え、それを可読化しようとした種々の試みに焦点を当てることで、「可読的身体の歴史」という未踏の領野を切り拓こうとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究の進捗により、個人識別技術の発展に旅券制度の形成が密接に関連することが明らかとなった。すなわち身体的特徴を基に個人を識別することを目的とした旅券は、その発展の過程で(1)可述的身体(言語で表現可能な身体)、(2)可視的身体(視覚で認識可能な身体)、(3)可読的身体(定量的に表象可能な身体)の三つの身体に志向してきたのであり、それだけにバイオメトリクス以前に個人識別技術を基礎づけていた歴史的心性を、当該制度から解明しうると思われる。 そこで本年(2021年)度は、近代ツーリズム史を専門とする森本慶太氏を新たに研究分担者として迎え、従来にない視点から本共同研究の射程の拡張を目指すことになった。本年に開催した二度の共同研究会において、森本氏は近代の旅券制度を支えた観光業の発展と変質について、第二次世界大戦期のスイスを事例として論じられた。そこでは観光の大衆化と制度化が具体的な組織を基に考察され、メンバーをして旅券制度の普及をもたらした歴史的文脈の理解の重要性を理解させた。 その他として、津田博司氏から20世紀前半における「生態学的人間生物学」の興隆に関する報告がなされ、宮本隆史氏から英領インドにおける「犯罪的部族」の管理と、その社会的構築性について報告された。また、昔農英明氏は現代ドイツの移民批判の言説を第一次大戦直後の「黒い汚辱」キャンペーンとの連続性で論じる視点を開示し、高林陽展氏は第一次大戦末期の「スペインかぜ」流行時における体温計の売上急増という現象に関して報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と同じく、本年度もCOVID-19の影響のために、研究活動は予定どおりに進めることができなかった。海外での史料調査もできず、研究会もオンライン形式を続行せざるをえなかった。 そのなかで、本年度に予定していた国内学会でのシンポジウム企画は次年度に持ち越すこととし、海外研究者の招聘と平行して準備を進めることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、次年(2022年)度は、国内学会(日本西洋史学会)でシンポジウムを企画し、過去2年度にわたる共同研究の成果を発表するものとする。また、海外からはCLAMOR(司法史・デジタルヒューマニティ研究所)所長のマルク・レンヌヴィル(Marc Renneville)氏を招聘し、10月末仏文学会での講演を依頼することとする。
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