Tracing of Ancient East-West Trade Route "Glass Road" by Onsite X-ray Fluorescence Analysis
Project/Area Number |
20H01372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
阿部 善也 東京電機大学, 工学研究科, 助教 (90635864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村串 まどか 筑波大学, 人文社会系, 特別研究員(PD) (20868880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2020: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
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Keywords | 古代ガラス / シルクロード / オンサイト分析 / 蛍光X線分析 / 起源推定 |
Outline of Research at the Start |
Naまでの軽元素とppmレベルの微量元素を大気圧下で分析可能な可搬型の蛍光X線分析装置を新たに開発し,国内外の研究施設や博物館において古代ガラス製品を非破壊かつオンサイトで分析して,化学組成に基づいて起源(一次生産地)を推定する。ローマ帝国が栄えた地中海沿岸から,ペルシア帝国(サーサーン朝)を中心とした西アジア,交易の要衝であった中央アジア,東洋の中心であった中国,ユーラシア東端の新羅,弥生~古墳時代の日本のガラス製品を対象とし,考古学者と協力しながら,ユーラシアを横断する東西交易路「ガラスの道」を追跡する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響により,研究計画の変更を余儀なくされ,翌2022年度への繰越申請を行った。 【装置開発】グラフェン製窓材を搭載した最新鋭のX線検出器を可搬型蛍光X線分析装置に導入し,オンサイト分析における性能を評価した。非破壊・非接触,大気中,さらには測定中に可視光が装置に入射する状態であっても,NaやMgなどの軽元素を高感度で検出できることがわかり,ガラス製品を中心とした文化財の研究にきわめて有効な装置であることが実証された。装置の開発元であるアワーズテック株式会社と今後の開発指針について協議した。また,2021年度よりハイパースペクトルカメラを新規に導入し,蛍光X線分析で得られる組成情報との対応等についてガラス製品や陶磁器を用いて検証した。 【オンサイト分析調査】2021年度には京都・大徳寺をはじめとした複数の国内施設においてガラス製品の分析調査が実現したが,これらの多くは前年の2020年度から計画されていたものであり,当初2021年度内に計画されていた分析調査の一部は翌2022年度に延期とした。2022年度には石川県埋蔵文化財センター,岡山市立オリエント美術館においてガラス製品および関連遺物の分析調査を行ったほか,東京・国立西洋美術館等において,本研究で開発した可搬型蛍光X線分析装置を用いた油彩画の分析調査を複数回にわたって実施した。 【研究成果の発表】2021年度に国際誌Journal of Archaeological Science: Reportsに古代ガラスの分析に関する論文を投稿し,オープンアクセス論文として掲載された。他にも査読付論文を含む複数の雑誌論文を投稿した。2021~22年度にかけてはリモートで開催された学会が多く,比較的容易に参加可能であったため,文化財のX線分析や古代ガラスに関する招待講演を複数実施したほか,国際学会での発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型検出器を搭載した可搬型蛍光X線分析装置の性能は当初想定していた以上であり,本研究課題の主要なターゲットであるガラス製品に限らず,油彩画・陶磁器・石製品などきわめて幅広い材質の文化財に対して柔軟に応用可能であることがわかった。装置の性能や応用事例について,国内で開催された文化財分野およびX線分析分野の学会で発表を行ったほか,すでに国際学会での発表についても予定されている。また,文化財のオンサイト分析調査がほぼ全て中止・延期となった2020年度とは異なり,2021年度から国内施設での調査を順次再開でき,繰越後の2022年度も含めると,当初の計画に含まれなかった新規の対象も含めた様々な研究調査が実現された。特に,本研究課題の研究分担者であった村串まどか博士を繰越後2022年度から研究支援研究員として迎えることができ,本研究に関わる業務(開発した装置の性能評価,分析調査の計画および実施,データの解析,学会での成果発表など)を専属的に実施いただいたことで,前年度(2020年度)分からの研究の遅れを大幅に取り戻すことができた。このように装置開発および国内施設での研究活動が順調に進展した一方,依然として海外施設での分析調査については実施することができなかった。また,新規導入したハイパースペクトルカメラについても実際の文化財の調査への導入には至っておらず,全体としての進捗状況は「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染拡大に伴う行動制限は世界的に見ても緩和されつつあるため,本研究課題の最終年度となる2023年度(注:本来の研究期間は2022年度までであるが,繰越申請を行った)は,国際的な活動に重点を置く。国内施設における研究活動については引き続き順次計画・実施していく予定であるが,新開発の可搬型蛍光X線分析装置およびハイパースペクトルカメラを用いた海外施設での文化財のオンサイト分析調査を2023年度内に実現させるべく,計画的に準備を進めていく。 また,蛍光X線分析装置のさらなる性能向上を目指し,最新型の信号処理回路を導入予定である。回路パーツ自体は2021年度分の本科研費で購入が完了しており,2023年度内に実際の装置への取付と動作確認を進める。開発した装置の性能およびガラス製品を中心とした文化財への応用成果について,2023年5月にポルトガル・リスボンで現地開催される文化財の分析技術に関する国際学会「Technart 2023」においてポスター発表を行う予定である。同学会の開催後には国際誌への論文投稿を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(58 results)