新氷床コアレーザー溶融法で探る巨大太陽プロトン現象の超高時間分解能検証
Project/Area Number |
20H01952
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
望月 優子 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 室長 (90332246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和也 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別嘱託研究員 (70221356)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2020: ¥16,510,000 (Direct Cost: ¥12,700,000、Indirect Cost: ¥3,810,000)
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Keywords | 太陽活動 / 氷床コア / 超高分解能分析 / 太陽プロトンイベント / アイスコア / 超高時間分解能 |
Outline of Research at the Start |
氷床コアとは、南極大陸などの氷床から鉛直に切り出した円柱状の氷試料で、深度が深いほど過去に遡ることができる。日本の南極ドームふじ基地で掘削された氷床コアには、成層圏大気を顕著に取り込むという他国の氷床コアにはない特長があり、気候変動だけでなく過去の太陽活動の情報をも提供し得る。代表者らはレーザー溶融を応用した世界初の自動サンプリング機の開発に成功した。この装置は2mmの超高分解能で離散的な試料が得られる。この装置の特長を生かし、従来は検出不可能であった、1859年9月に起きた観測史上最大の太陽嵐「キャリントン・イベント」の痕跡の検出を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
理化学研究所で新規に開発した氷床コアレーザー溶融サンプラー(Laser Melting Sampler; LMS)によって、南極大陸のドームふじ基地で掘削された氷床コアについてこれまで手分離による約1年の時間分解能では識別できなかった巨大太陽プロトン現象を識別し得るだけの超高時間分解能が達成できる見通しとなった。このLMS装置と本課題予算で導入した高感度イオンクロマトグラフィー装置を組み合わせ、氷床コア中の硝酸イオン濃度をプロキシ(代替指標)とした巨大太陽プロトン現象の痕跡の検証が本研究の目的である。 2020年度は、イオンクロマトグラフィー装置を選定、導入し、又、LMS装置をドームふじ浅層コアに初めて適用し、深度方向3mmの超高分解能の自動サンプリングに成功した。続いて2021年度は、採水されたコア試料の水同位体比分析及びイオン分析を行った結果、水同位体比分析については、実験室大気との接触により比較的容易に同位体交換が起きるため留意が必要であることがわかった。イオン分析に関しては、予期せぬ微量なイオンの汚染が認められ、汚染の原因を詳細に検討した結果、LMSに2カ所の改良を行った。並行して本課題では、イオンクロ装置をメンテナンスし、分析に必須の超純水製造装置に復旧不能の故障が判明したため、同装置を新規に導入した。水同位体比分析は、既有の手分離データの結果と比較して、LMSを初適用した分析結果はなんら問題がなく、LMSはマシンとして完成していることが確かめられた。 適用を考えている巨大太陽プロトン現象については、西暦774年のイベントに加え、994年イベントについても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、コロナ禍に入り2年度目であり、供給減少によるイオンクロマトグラフィー装置メンテナンス部品の納期遅延により、年度内の調達が難しくなり、予算の一部を翌年度に繰越した。翌2022年度には、イオンクロ装置のメンテナンスを行うと同時に、分析研究に必須である、超純水製造装置の不具合が判明したため、同装置を選定、導入した。上述したように、ドームふじアイスコアに対して初めてのLMSイオン分析を行った結果、予期せぬ微量汚染が判明するトラブルがあったが、原因究明とLMSの改良が行われ、対策できた。また、水同位体比分析では、LMSの適用によって初めて可能となった3ミリピッチの超高分解能分析の結果と、手分離で試料を作り分析したデータとが測定誤差の範囲内でよく一致し、LMSはマシンとして完成していることを立証できた(論文投稿中)。 対象とする巨大太陽プロトンイベントについても、別途10Beの分析から示唆されている、西暦774年、及び994年イベントの両方について検討が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
超純水製造装置の新規導入により、超純水氷の製作など汚染対策の検証に有効であっただけでなく、今後のバイヤル瓶や容器の洗浄がより確実、効率的に行えるようになった。また、超純水氷の製作工程を工夫することによって、実験室空気からの汚染のより心配のない超純水氷が作れるようになった。これらにより、LMS装置の適用における環境と汚染対策をさらに徹底してイオン分析で検証し、汚染が起きないことをしっかり確認ができた時点で、ドームふじアイスコアへのLMS分析の適用を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)
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[Presentation] A novel, ultra-high-resolution laser-melting sampler with resolution controllability for discrete analyses of ion concentrations and stable water isotopic compositions in ice cores2021
Author(s)
Yuko Motizuki, Yoichi Nakai, Kazuya Takahashi, Junya Hirose, Yu Vin Sahoo, Yasushige Yano, Masaki Yumoto, Masayuki Maruyama, Michio Sakashita, Kiwamu Kase, Satoshi Wada, and Hideaki Motoyama
Organizer
AGU Fall Meeting 2021
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[Presentation] A novel high-resolution laser-melting sampler for discrete analyses of ion concentrations and stable water isotopic compositions in firn and ice cores2021
Author(s)
Y. Motizuki, Y. Nakai, K. Takahashi, J. Hirose, Y. V. Sahoo, Y. Yano, M. Yumoto, M. Maruyama, M. Sakashita, K. Kase, S. Wada, H. Motoyama
Organizer
virtual EGU General Assembly 2021 (vEGU21)
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